会社に天敵がいる。デリカのチーフH.Rである。
事務所で頂き物のどら焼きを食べようと、袋を破り机の上に置いた。すると背後から天敵が音もなく近づき、艶のある美しい焼き色が付いた、ふっくらとした美味しそうなどら焼きの中央に、あろうことかいきなり人差し指をつっこんだのである。

「なっ、なにをする!」
「今日は機嫌が悪いのや!」
「なんぼ機嫌が悪かっても、普通社長のどら焼きに指つっこむか?」
「フン!!」
「僕は新しいの食べるから、お前これ食え!」
「私はこんなん嫌いや!」と言って出ていった。げに恐ろしい天敵。

このような事件は決して珍しいことではない。日常茶飯事、一日の定番、お約束事なのである。また天敵は、すぐに私を捕まえ説教する。それも理詰めで逃げ場のない説教なのだから、学校の意地の悪い先生に説教されているような錯覚に陥る。

当社の事務所は、入り口から入って部屋の両側にデスクが並び、真ん中には「いろり」があり、それにくっついて一番大きなデスクが他の者を見下ろしている。このデスクの主が天敵なのだ。

私のデスクは天敵に背を向けた一番端っこ。裏口一つを開ければトイレである。これは端的に私と天敵の力関係を表している。
写真の白衣が天敵である。決して香港マフィアのボスではない。マフィアのボスで有っても不思議ではないが・・・