三条は、「多面的機能の発揮」だが、日本政府がWTOを含め、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなど食料生産の輸出で外貨獲得攻勢をかけてきている国々に対して国内の農業の多面的機能によって防ごうというものだ。

第三条 国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動がおこなわれることにより生ずる、食料その他の農産物の供給機能以外の多面にわたる機能(以下「多面的機能」という。)については、国民生活及び国民経済の安定に果たす役割にかんがみ、将来にわたって、適切かつ十分に発揮されなければならない。農業は食料の生産以外にも、このように多面な機能を持っているのだから、これ以上農業がだめになると日本がだめになるんですよ、輸入関税も含めて国境でくい止めるため、食料の輸入をコントロールするんですよと日本は主張しているのだ。その論拠がこの多面的機能の発揮なのだ。この個別法が「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」だ。

第四条は「農業の持続的発展」農村の振興だ、今日はこれを話したくてやってきた。新しい基本法は四つのものが柱になっている。「食料自給率の向上」「多面的機能の重視」「持続農業の推進」「農村の振興」これらをやらなければいけないと、トップ官僚の半分ぐらいが考えたのであろう。今までこんな大きな法律では「持続農業の推進」など言わなかった。言わざるを得なくなってきたのだ。

ちなみに1976年から有機農業に関わった仕事をしているが、当時有機農業に対しては行政の対応はけんもほろろだった。「なにを馬鹿なことを言っている。農薬を使わずに作物が出来るわけがない。学生運動などしているからそんな馬鹿なことを考えるんだ。」等と言われた。

ところが今、持続農業を押し進める法律が出来てしまった。特別法である「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」の二条。

(定義)
第二条 この法律において「持続性の高い農業生産方式」とは、土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進その他良好な農営環境の確保に資しると認められる合理的な農業の生産方式であって、次に掲げる技術のすべてを用いて行われるものをいう。

これは、裏を返せば土壌がだめになってきていると言うことだ。農業の原盤である土が死んだということだ。持続できない農業になってしまい、土壌の生産性が極端に落ちた。だから「土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進」をさせなければいけません、と言うことで、持続方農業の推進の方法が次に書かれている。

一 たい肥その他の有機質資材の施用に関する技術であって、土壌の性質を改善する効果  が高いものとして農林水産省令で定めるもの
二 肥料の施用に関する技術であって、化学的に合成された肥料の施用を減少させる効果  が高いものとして農林水産省令で定めるもの
三 有害動植物の防除に関する技術であって、化学的に合成された農薬の使用を減少させる効果が高いものとして農林水産省令で定めるもの

「たい肥その他の有機質資材の使用」は、堆肥を入れないと土壌生産性が高まらない。土は表層土の30~60センチしかなく、2メートルも3メートルもあるものではない。この表層土の1立方センチの中に3億とかの微生物が活性化して、それがうまく循環していくのが肥沃な土壌である。微生物が活性化するには、その餌である有機物が投入されなければならない。そのために堆肥をいれよ、ということである。

二つ目に、「肥料の施用に関する技術であって、化学的に合成された肥料の施用を減少させる効果」。つまり自然のもので肥料効果の高いものをいれなさい、と言うことだ。これはぼかし堆肥で、一番目は完熟堆肥と思ってもらって良い。完熟堆肥とぼかし堆肥をバランス良く入れれば、土壌微生物に必要な栄養素が出て活性化し、土壌生産性が上がるということである。化学肥料はあまり使わないでくれ、と言っている。それから、「化学的に合成された化学的に合成された農薬の施用を減少させるものを使いなさい。」ということだ。

堆肥を投入し、農薬・化学肥料を少なくしてくれよ、と言うのが持続農業法の基本となっている。それらが法律として具現化したのだ。

つづく