これからは、価値指向を目に見える形で表現して行かなければならない。ラベルの権威が著しく落ちたが、これを復権させなければならない。消費経済社会の原則は、同一品質のものに対しては同一のラベルが貼れると言うことで、雪印のやったことは消費経済社会を崩壊させる行為であった。

工業製品の場合は、閉鎖型生産設備の中で、同一生産行程において生産される物だから同一品質なものが作られる。問題は農産物である。自然界と接触を断った生産現場ではあり得ず、個体それぞれが違う。一定ではないのに、一定としなければならない矛盾がある。厳密に言えば、農水畜産物は絶対一定ではない。それを一定と認識してもらって市場展開が円滑に行くようしているのだ。

だから品質において一定とはいえない、だから生産基準でいこうというのが原産地証明で、今は県単位だが、群、町・・・誰となって行くだろう。生産基準が同一だから、品質基準も同一であろうと、消費者に認識していただく、類推していただく、そういう手法をとっているのが特定JAS法だ。JAS法は品質を、特定JAS法は生産基準を問うている。農畜産物の販売の方法は、残念ながらこれしか方法がない。だから綿密な、細心の注意を払ってのラベル表示で消費者に信用してもらい、買っていただく。これが崩れたら農畜産物全体の信用の崩壊である。

このごろ環境基準が言われているが、品質基準はIS9000、環境基準はIS14000。これを表現するのに生産基準をきちっと見極めて表現する。

有機栽培とは、三年以上無農薬・無化学肥料のほ場で作った農産物を「有機栽培生産物」と言ってよろしい。しかし、三年以上無農薬・無化学肥料のほ場で作った農産物から農薬が検出されることは無いのか? 検出される場合はあり得る。生産方法を言っているだけで、農薬が全くないという品質基準を保証しているのではないからだ。有機栽培だから農薬は無いだろうと類推して買ってもらうしかないのが農畜産物である。

消費者は生産基準をよく見ている。だから品質指向で商品開発・商品構成をやって行かねばならない。しかし一度に有機農産物だけを販売するのは現実的ではない。慣行農業では世界中からどんどん入ってくる。一方では有機栽培に移行するのは大変難しい。有機栽培に移行する方向で、中間型として農水省が打ち出したのが持続還元型農業だ。

行政は法律を作り、持続還元型農業認定制度を作った。各都道府県の知事に申請すれば、有機に比較すれば、簡単に認定される。S14000のように、目的設定がはっきりし、記録が残せれば、現在農薬を使っていても認定農家と成れる。これに対して農水省はエコファーマーというのを打ち出してきた。

持続還元型農業認定を受けた農家は、農産物にエコファーマーのマークが付けられる。健康と環境という最大の関心事は、慣行農業では差別化できないから、持続還元型農業という生産基準から作られたということで差別化しようというものだ。そこまでトップ官僚は考え、民間がどうするか観察している。

おわり