三重県久居市で、イチジクの溶液栽培をされている川原田さんを訪ねた。河原田さんはもともと造園関係のエンジニアで、約3年前からイチジク作りを始めたという。

溶液栽培とは、人工培地に植物を植えつけ、栄養分を溶かしこんだ溶液を与える農法である。河原田さんは人工培地としてロックウールを嫌い、パーライトと言う多孔性のセラミックと杉の樹皮を混合させた物を使っておられる。パーライトは通気性・保水性・保温性に優れているので、夜間の温度が急に低下するのを防止できる。


通常養液栽培は、紫外線などで溶液を殺菌して無菌状態で栽培し、溶液の70パーセントはそのつど廃棄し、30%を再利用している。従って地下水汚染などの問題があり、溶液栽培は増えていない。河原田さんの養液栽培は、ハウスの外に地下タンクを設け、100%循環させている。栄養分は減った物を減った分だけ補充し、キトサンなどの資材を使ってpH管理を行う。二棟目のハウスでは、パーライトに変えて木炭を人工培地に使っているので、循環する水は実に透明度が高く、飲めそうな水である。

河原田さんは農家と言うより、イチジクの研究者と言った方がいいだろう。観察と実験を繰り返し、どんどん独自の技術を確実なものにしておられる。収量の三割アップ、収穫をずらし冬場でも出荷出来る技術。ハウスの中で木を育てるため、あまり木が高くては困るので、節間を短くし、しかも新芽を多く出させる技術等々である。世の中には凄い人はいるものだ。


虫の外皮のキチン質を好む微生物に、イチジクの出すタンパク質分解酵素を加え、昆虫を飛べなくすると同時に、体内に入って内臓をやっつける殺虫剤を開発され、しょうじょう蠅などに大変効果が合ったそうだ。今日は大変勉強になった。明日は静岡のワサビ農家を訪ねる。