● 作り方
今の季節葱が旨い。葱の一族は中国から西に続く砂漠地帯で、寒暖の差が大きい。従って彼らには栄養分を澱粉として蓄える能力を失い、先のすぼまった葉の中にドロドロとした糖質を不凍液として蓄えるのだ。だからこの季節の葱は甘い。旨い。
特に千住葱は格別である。千住葱とは、江戸の時代から200年続いている葱専門の市場があり、そこに集まる葱を何代も続く葱商人達が選りすぐり、ブランドを守ってきた葱である。「豪華絢爛夢のような葱丼」の材料は先ずこの千住葱。鰹節。胡麻。醤油。お好みで納豆等。

葱の葉を切り落とし、刻む。ただ刻む。フェアウェーからグリーンに至る長い道のりを行く私のゴルフのようにひたすら刻みまくるのである。刻んだ後は決して水にさらそうとしてはいけない。葱一族が進化してきた久遠の歴史をいただくのだ。目が痛いとか刺激が強すぎるなどの弱っちょろい精神の持ち主はこれを食する権利はない。

温かいご飯に刻み葱をトッピングし、醤油で和えた鰹節、胡麻を乗せる。丼の中でこれらを混ぜつつかっ込むのだ。葱の甘みと強い香り、鰹と胡麻の香ばしさが漂い非常に旨い。お好みで納豆等を副食とすればさらに味は奥行き豊になり、栄養的にもよろしい。単純であるが、それが故米食文化の原点のような気がしてきた。

今日はあみこさんの退職日である。パソコン教師へと華麗なる変身を遂げられるのだ。
「私の最後のまかないなのに、ただの手抜きじゃないの?」
何故かあみこさん少々ご立腹の様子であった。