● 作り方
ただの思いつきと、チキンカツが食べたかったので本日の賄いは「チキンカツ」です。
鶏もも肉にフォークで細かな穴を開け、軽く塩をふる。豆板醤2テンメン醤1オイスターエキス少々を混ぜ合わせ、キチンにべったりと塗りたくる。そのまま冷蔵庫にラップをせずに入れて少しソースを乾かしてやる。その後は小麦粉・卵・パン粉と毎度おなじみカツ作り。

さて、ここからは少し難しくなるけど料理にとって温度がいかに大切かという話しだから良く聞いてね。鶏でも牛でも豚でも動物の筋肉は蛋白質で出来ているのは常識。筋肉の蛋白質には筋原繊維蛋白質、筋漿蛋白質、肉基質蛋白質があって、肉の硬さは筋原繊維蛋白質の結合の強さと、肉基質蛋白質の含有量に影響されます。加熱すると蛋白質が変性し肉が縮み、水分も失われ硬くなってしまう。筋原繊維蛋白質は芯温(中心の温度)が68℃を超えると保水作用が徐々に失なわれて肉のもっている水分が出てしまう。だから例えばチキンカツを高温で加熱しすぎると肉が縮んでしまい肉はカスカスで固くなっちまうから君たちのチキンカツは最悪なのだよ。

そこで、用意したのが我が社の誇る「芯温センサー」と嵯峨ニックで買ったストップウォッチ。この針の様なセンサーをチキンカツの一番肉厚の部分に差し込んで油で揚げる。まだ生だからこの時芯温は+8℃前後だった。「よういドン」でストップウォッチとグルメ・リフターのバスケットを下ろす。約1分30秒で芯温は30℃になったのでバスケットを上げて余熱加熱に入る。1分30秒後の芯温は50℃。そこで二度目の油加熱を1分30秒。この時の芯温は60℃になっているので油から取り出す。芯温は熱でドンドン上昇して最終的に73℃付近に落ち着く。「えっ。68℃じゃないの?」という至極ごもっともさんな声もあろうが、家庭ではともかく、商品としてお客様に出すことを私の賄いは前提にしているので大腸菌群の死滅する温度帯をクリアする必要があるのだ。驚いたか!この緻密な計算を。

ホンでもって肝心のお味は、実にいい。とっても旨い。写真を見てよ。ジューシーでしょ。切り口から肉汁がジワ~ってにじみ出ているのがお分かりか?ここで肉と衣に隙間が無いことに注目!君たちのカツ類はこうはなっていないはずだ。鶏肉が水分を保っているので縮まず美味しい証拠なのだ。

(注意) 上記の芯温とタイムの関係は、油槽の温度や肉の厚み、冷蔵状態によって違ってきますのでこのとおり調理したとしても上手くいくとは限りません。