グラスに入った、怪しく光を放つ黒いつぶつぶ。これは何でしょうね? キャビアだったらどれだけ嬉しいことか事か(泣)。 残念ながらこれは山椒の種子。

一口に山椒といえども山椒が違う。和歌山の山奥深く分け入り、肌に仇なす鋭い棘に臆する事なく果敢にも艱難辛苦、汗出し血を出し命がけで集めてまいった、紅に熟した野生山椒の実なのだ。
とは言っても、山に行ったのは私ではなく取引先の「木挽屋」という佃煮屋さんなんだけどね。有り難う御座いました。ちなみに木挽屋さんの佃煮は私の一押し。べたべたやたらに甘くなく、ちゃんと素材の味がいきている。お買い求めは是非当店で!

普通山椒の粉と言えば、青い実を収穫して乾燥し粉砕したものだが、これは山椒の実が赤くなるまで待ち、真っ黒な種子が育つころに収穫する(写真1)。それを乾燥させると皮が縮んで種を吹き出すようになる。ここからが大変な作業。吹き出すと言っても皮と種は蜘蛛の糸の様な繊維で繋がっているので取りにくい。また種が大きすぎるものは一粒ずつ指先で皮をめくってやらねばならない。固い種が少しでも混じってしまえば出来上がりが砂を噛んだようになってしまう。

写真は種を取り除いた皮(写真2)。肩こりと眼精疲労を伴う単純労働の成果なのだ。粉に曳くのは先ずフードプロセッサーに掛けて見たが空回りするだけに終わり、すり鉢で摺ること一時間でも埒開かず、電動ミルを買って来て試したら3分で出来ちゃった(写真3)。涙が出かけた。

そこまでしてこの山椒粉を作るのは、その香りの高さと気品が一般の山椒粉とは全く違うからだ。乾燥作業中、すり鉢で摺っている間、部屋は山椒の香りが充満し、デスクワークしていた店長が逃げ出すほどである。冷凍保存すれば少なくとも2年は私専用として楽しませてくれる。今日のお昼は鰻にしようっと。

写真1 写真2
写真3 左:一般的な粉山椒 右:当社の粉山椒