有機農法では、堆肥を作ってるとか、堆肥をたくさん土に入れてるとかよく聞くよね。堆肥というのは植物や動物の糞尿を発酵させて作る代表的な有機物なんだけど、その約10%に当たる、無機物に分解される直前のものを「腐植」という。理想的には耕土の腐植含有量は5〜6%と言われているから、例えば耕作面積10アールで土の深さが10cmとすれば、耕土全体の重量は約100トンだから、必要な腐植は5〜6トンとなる。

でもね。耕土の理想的腐植含有量は5〜6%とするなら、堆肥はいくら必要になる? 腐植は堆肥の約10%だから、耕作面積10アールなら10倍の50〜60トン毎年必要とされる分けで、有機農法がどんだけ大変な事か分かっていただけたかな?

腐植には植物性と動物性がある。動物性のものは栄養腐植といい、窒素が多く、早く分解して効き目が早い。窒素は、空気中に無限にあるのに、神の御業により植物は直接吸収できず、アンモニア体窒素または硝酸体窒素の形でのみ吸収できる。概ね田圃はアンモニア体、畑は硝酸体だな。

植物が過剰に硝酸イオンを吸収すると窒素過多となる。1940年代アメリカやヨーロッパで「ブルーベビー現象」というのが発生した。 窒素過多の牧草を食べた牛からのミルクを飲んでいた赤ちゃんが、窒息状態に陥り、全身が青くなる症状をブルーベビーと呼んだ。 約2000件の症例が報告され、その6〜7%が死亡する恐ろしいものだった。

これは、窒素過多の牧草が牛の中で凝縮されミルクとなって、それを飲んだ赤ちゃんはヘモグロビンと酸素が結合するのを硝酸体によって阻害され、酸欠になったと推測されているんだ。

また、過剰に硝酸体を含んだ野菜類と、肉類が分解されて出来るアミンが合体すると強い発ガン物質のニトロソアミンが出来てしまうこととなる。だから「有機栽培だから安全だわ」なんてことは必ずしもない。
100%安全な食品なんて無い!
これは鉄則で、ゆめ忘れないように。野菜類の硝酸体窒素の許容量はせいぜい2000ppmまで。「有機栽培でござりまする。」って持ってきた野菜の中には10000ppmを越えてるのもあったぞ。(自慢じゃないが我が社には硝酸体窒素の計測器かあるのだ)

計測器の無い一般の方々が窒素過多を見分けるには、毒々しく不自然な色をしているものは避ける。少し食べてみて、不自然に苦みやえぐみをしているものは買わない。そんなところかな。