5月12日日曜日
泊まったホテルは昨年同様インペリアルホテル。

内部は天井まで吹き抜けになっており、各階は回廊になっていてルームナンバーが分かりにくく何度も迷子になるし、高所恐怖症の私には下を覗き込む勇気はない。もっとチープなホテルやゴージャスホテルでも良かったのだが、それでもここに決めた理由は全室ウォッシュレットが完備されているから。台湾のホテルにもウォッシュレット付きの部屋を持つホテルは有るには有るが、確実にその部屋が取れるとは限らない。

今日は日曜日で、台湾に留学していた取引先の営業ウーマンの、台湾人友人T君が終日付き合ってくれる事になっていた。
事前に何度もメールでやり取りし、各種予約や情報をくれたり、この日に限らず旅行全般のスケジュール調整をしてくれていた。見事な日本語文章で、文法や敬語もほぼ完璧。
多少、現在の日本人でも使わないクラシカルな表現も有って思わず「プッ」と吹き出したことも。実際にお会いしたら、最も伝統的かつ丁寧な日本語、「かたじけない」と「さらばじゃー」を是非とも教えてあげよう。

9:30にT君がホテルまで迎えに来てくれる事になっていて、スケジュール的にあれやこれや食べまくる様だったのでホテルでの朝食は極少量、珈琲を飲む程度にしようねって話していたんだけれど、思いのほかパンが旨く、トーストを二枚も食べてしまった。これが第一の大失敗。後々あとを引く事に。ロビーで待っているとそれらしい車がやって来てT君登場!

この日は、台北から地道を使って基隆まで北海岸を巡るコースで、車でなければほぼ不可能な観光ルート。私は一度同じルートをバスで基隆まで行った事が有るが、バスではとてもディープなポイントを訪れる事は不可能で、車を出してくれたT君に深く感謝。

約1時間半で「石門」に到着。この周辺は大小の中華粽屋が国道に群れなすのだが、中でもこの「劉家肉粽」が最も有名な老舗らしい。

でも「最も有名な老舗」って言われても、完全にファストフード屋と化しているじゃん。違和感でまくり。

わいわい言いつつ、粽各種を計5個購入。

これが第二の失敗。だって結構ボリューム有るんだもん。

餅米がぎゅうぎゅう詰め込んであるし、こんなゴロットした豚角煮や栗や卵なんがが入ってる。

せいぜい2~3個をシェアすべきだった。でも流石最も有名な老舗だけあって、粽は全て無添加で店内で作っている。

劉家肉粽の隣に有るのは、「十八王公」という大きくもなくきらびやかでもないお寺。昔、この寺の沖で船が遭難し17人が亡くなった。生き残った18人目が亡くなった者達の冥福を祈るために建立したことで有名。漁師達の信仰が厚いらしい。

国道を挟んで海に突き出した公園が有り、好い大人がしばし休憩。このひとときがこの日雨がやんだ唯一の時間であった。

丸いドームのある所が台湾の最初の原発。

その後、古い町並みが残るという金山地区へ移動。ここでは殆ど土砂降りが続く。母の日のせいか凄い人出。

このお寺の門前市なのだが鴨料理店が多い。中でも有名なのが「金包里老街鴨肉」。

厨房ではひたすら料理を作り続けて平台に並べる。

客はてんでに好みの料理を勝手に持って、通りを挟んだテーブルの並ぶ場所に運ぶ。もちろんテーブルは限りが有り、待つ客と係員が怒鳴り合い正にカオス状態である。

持って来た料理は「破竹の炒め物」。私は一番これがお気に入り。タケノコは柔らかく薄味でおいしいが、結構雑な切り方で食べにくいことこの上ない。

「鴨の蒸し物」も薄味だが鴨肉そのものが味が濃厚なので千切りの生姜とともに食べると旨い。

「海老すり身のコロッケ」は、衣にナッツが混ぜてあり香ばしくも所詮はすり身。多分にがっかり。

T君が「そうそう、炒麺もここの名物。食べて下さい。」と持って来たのがこの皿。

これでも通常の半分の量だそうだ。味は普通の塩焼きそばだか、単に伸び切ったのか、わざと汁を含ませたのか、言わば「塩やきそば伊勢うどんバージョン」で、いかに歩くディスポーザーがメンバーに入っていても、とても完食は無理であった。
謎だったのが「金包里老街鴨肉」での会計システムで、ガイドブックを読んでも良く分からなかった。
実際は、客と怒鳴り合ってたテーブル案内の係員に合図すれば、料理の皿の種類で計算し、エプロンのポケットにお金を出し入れする、いわば回転寿しの原型の様なチェックアウトシステムだったのだ。

鴨料理でとどめを刺され、歩く事さえただならぬ5人。
本来なら奇岩風景で有名な「野柳風景區」は土砂振りで危ないからスルー。ここは是非とも行きたかったから残念。

萬里の人気ケーキ屋さんも母の日故長者の列&車を止められないためまたもスルー。

これは良かった。ケーキだって何だって食べられないよう(泣)

そこで基隆に入って観光。和平公園に行ったのだが、だだっ広い駐車場に車は皆無。
深い入り江には波に浸食された奇岩が見える。

見所満載だから半島一周してみようかというタイミングでスコールが来る。傘をさしていても半身パンツまでずぶ濡れで屋根のある建物に避難するけどつまんない。
お馬鹿な子が約二名クジラがいると騒ぎ出し、写真を撮り動画まで回し始める。

クジラって立ち泳ぎするのか?いつまでもじっとしてるのか? それ岩でしょ。

「八斗子観光漁港」に移動。
始めは分からなかったが、京都の台湾家庭料理「青葉」のおばちゃん達と何年か前来た事有るぞ!
その時は木造の建物でアーケードなんかなく、何となく寂れた様子だったのに人で一杯。

「大本営」って魚屋も健在でした。

奄美や沖縄付近で獲れる魚は何となく熱帯魚ぽいのに、ここに並ぶ魚達は身近な物が多いのは何故なんだろう。
台湾の魚屋では魚を決まって縦に陳列している。

貝・海老・蟹も実に豊富。

この巨大シャコなんて日本円で一尾150円程度。

以前食事をしたお店も大きくグレードアップ。

この水槽や氷を敷き詰めた台から好みの食材を選び、好みの調理法を指定する。

氷の台の内、これは干しなまこを戻したものだが、

これは何ものか今回も分からなかった。

基隆市内へ戻って車を置き、市内観光に。
途中でっかい豪華客船(?)が停泊していた。VOYAGER of THE SEAS 海の旅人号?

その隣は沖縄へ行く定期客船との事。これもほぼ同じ大きさのでかさだ。

お約束の廟口夜市をぶらぶらするも何も食べられず、食い物の匂いだけで吐きそう。
せめて何か飲もうかと屋台でマンゴウミルクを注文。

でもご当地の飲み物でもかき氷にしても、量が多いのだよ。

夕食は「海龍珠」という海鮮レストランを予約しているので、とりあえず時間まで腹をこなさねばと歩き回って疲れ果てる。
港町だからかタトゥー屋がどこそこにあるので、記念にちょこっと入れて行くかと提案するも即刻却下される。

しかも全員からアホかと罵られる。

時間が来たので「海龍珠」へ移動。ここでもカオスと喧噪。

普通の声では会話は成立しない。母の日のためコース料理のみで、アラカルトは非情にも受け付けないと無慈悲な声で突っぱねられる。もう一つ衝撃的な事実が判明。T君から、アレルギーのため魚介類は一切食べられないとのカミングアウト。親兄弟は何ともないから、魚介が食べられないのは幼い頃から慣れている。気にしないで、というが気にするわ! と言う事で、魚介以外の料理もあるコースを選ぶが、それは「蒸し鶏」。全く昼食とかぶってしまい申し訳ない。

先ず蒸した海老。

もう少し塩をきかせて欲しかった。

写真が暗くて申し訳ないが、何か不明の刺身と奥に有るのがタケノコのマヨネーズ和え。

台湾のマヨネーズは全卵で少し甘いが、物によってはいけるかも。
T君にお勧めするが、これもまるかぶり。
魚のあばら部分の唐揚げ。骨が邪魔で食べにくいが、これが一番旨くて印象に残った。

上海がにの春雨煮込み。

上海がには殆ど可食部分は無いが、その出汁を吸った春雨が大変に旨い。でも量が半端ではなく、片付けに来た店員に文句を言われた(ようだ)。

縛られて身動き出来ない可哀想な上海がに君。

最後がアルミホイルに包まれ、酒蒸しにされたハマグリ。

一人2パックの見当だが私とディスポーザー君で3パック喰ったどー。

多分ここの店は日本人観光客などほとんど来ないだろう。T君にまたまた感謝。腹を空かして是非ともまた来たいな。
T君のもうひとつのカミングアウトは、実はT君台北在中ではなく、台中に住んでいると言う。それなら基隆駅で降ろしてもらい電車で帰るからと言うと、そんな事は出来ない、きちんとホテルまで送り届けるのが自分の責任だと主張し譲らない。終いにはムッとされた。実に誠実で責任感の有る青年である。今時いないよ。

T君は楽器商社の営業をしながら学生もしているらしい。台湾語、英語、日本語が出来るバイリンガルで29歳。日本で就職するのが夢だと言う。