消費者の方は「有機栽培」に関してどれだけご存じ何でしよう?多分殆ど知識がないと思います。よく「00有機肥料」と言いますよね。でもあれって少しおかしいと思います。

植物は有機物を直接肥料として吸えません。窒素・リン酸・カリウム等の無機物を地中から水と共に吸い上げ、太陽のエネルギーで水と空気からブドウ糖を作るのです。植物が独立栄養生物と呼ばれるのは、植物と光合成細菌の様な一部の微生物だけが無機物から有機物を作れるためです。

植物ってすごいものですね。それではどうして有機物が必要なのでしょうか。土1グラムには十億の微生物がいると言われています。それらの微生物は有機物を食べ、最終的に無機化します。その無機物を植物が吸い上げるのです。毛根の回りの5ミリ位を根圏といい、微生物は有機物を無機物に分解し、アミノ酸や核酸類、ビタミンやホルモンなどを分泌しています。一方根の方でも炭水化物やアミノ酸・有機酸を出して、微生物に与えています。根と微生物はギブアンドテイクの関係なのです。

土の元になる物を母材といい、岩石が風化した物とかが粒子になったものです。この粒子はマイナスイオンを帯びてます。堆肥の中でも無機に分解される直前のものを「腐植」といい、腐植は、高分子から低分子を含む両性電解質で、重合・縮合を繰り返しながら無機質へと分解されてゆく過程でプラスイオンを帯びた物質となります。腐植は堆肥全体の10パーセントほどしかありません。

土の単粒と腐植がイオン的にくっつきます。これを一次団粒といい一次団粒同士がまたくっついて、最終的に「粟おこし」状態になります。そうなれば一次団粒同士の間に間隙が生まれ、そこに水や空気が入って好気性の微生物も嫌気性微生物も共存できますし、水はけが良く水もちもいいと言う状態になり、肥料を抱いていてくれる力=保肥力(CEC)が増すのです。さらに土の硬度が柔らかになって植物が根を張りやすくなります。

腐植には「栄養腐植」と「耐久腐植」が有り、いずれも有機物ですから最後には分解されてしまいますが、耐久腐植の方が分解されるのが遅く、土の改善には役立つと考えられています。耐久腐植は木質系の物で、木の細胞には細胞壁が有り、これはリグニン、ヘミセルロース、セルロースなどの分解されづらい物質で出来ているため長持ちします。

しかし、CN比(炭素と窒素の比率)が高い物を直接土に入れても、例えばおがくずなどでは、分解され窒素源になるためには30年もかかり、逆におがくずを分解するための微生物が地中の窒素を消費するため植物に窒素が行き渡らなくなる窒素飢餓状態になって悪影響を与えます。

腐植の含有量は多いに越したことはないのですが、せめて耕土の5~6% は必要とされています。具体的には、耕作面積10アール(=1000平方メートル)・耕土10センチメートルとすれば、耕土全体の重量は約100tであるから、必要とされる腐植は5~6tとなりますね。また腐植は耕作するしないに関わらず目減りしてゆき、耐久堆肥でも年間3%程度消耗し、少なくともその分は補充しなければなりません。

10アールで耕土10センチメートルの場合、一年で5トンの3%=150キログラムが失われます。現状を保つには150キログラムの腐植を入れる必要があります。乾物量として、腐植は堆肥の10% しか残らないので堆肥で補うには良質の堆肥1500キログラムを必用とします。しかし単に堆肥を大量に投入してもダメなのです。微生物のバランスがとれなくなると分解が進まないことになるので、窒素の補給などの手当と平行して行わないと逆効果となる場合もあります。

長年の農薬や土壌の酸化によつて微生物が減っている場合もあるから、時間をかけて少しづつのほうが安全ですが、土が出来てくれば堆肥を入れられる量も増えます。腐植の量は、現実的には5~6%で十分ですが、実際に8%のほ場もあります。それは長年土づくりを行ってきた結果なんです。

このように土に有機物を投入するのは、土の微生物性(微生物の量と種類を増やす)を高め物理性を改善していくためなのです。

有機栽培って大変な事なんですよ。誰でもすぐに始められるものじゃないんです。今まで化学肥料をまいてたのを、「00有機肥料」をまきさえすれば有機栽培になるもんてものじありません。時間をかけ、体を使って初めて有機栽培となるんです。農家の苦労を分かってあげて下さい。

次は化学肥料について書いてみたいと思います。