皆様の多くは酢が何からどうして作られているのかご存じないと思います。アルコールを酢酸菌という微生物が食べてクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコン酸、酒石酸、酢酸等の有機酸をはきだしたものが酢です。ですから酢は、人類が酒を知ったと同時に酢も知ったと考えられます。「塩梅」と言う言葉は塩と酢で料理の味を決めるという意味です。

日本伝統の米酢はお米から清酒を作りそれを発酵させるのですから、清酒の段階で「糖化」「アルコール発酵」の二回、酢酸発酵で一回、発酵を三回も経て作られる世界にも珍しい優れたものなのです。三回発酵はイギリスのモルトビネガー以外私は知りません。

しかし日本農林規格(JAS)では「米酢」との表示は酢1リットルにつき米を40グラム以上使用したものとされています。でも米だけで酢1リットル作るためには最低でも120グラムが必要で、宮津の飯尾醸造の米酢は200グラム使われています。

それでは大手メーカーの「米酢」は何から作られているのでしょう。醸造アルコールを酢酸発酵しているんです。醸造用アルコールはほぼ純粋なアルコールですので、これを酢酸発酵させても上記のように多くのような有機酸が得られずほとんどが酢酸です。

ミツ◯ン酢のHPを見ますと「醸造用アルコールの原料はサトウキビ」となっています。まんざらうそでもないのですが、本当は砂糖を摂ったあとのどろどろのコールタール状の廃液をアルコール発酵させ蒸留したものです。最近はパルプを摂った後の廃液からも作られているらしいです。

また本物の「米酢」は体内では合成出来ない必須アミノ酸「リジン」「フェニールアラニン」「アラニン」「メチオニン」「ロイシン」「アルギニン」「グリシン」「バリン」と天然のアミノ酸の殆どを含むのですが、大量生産即醸法により作られる酢はアミノ酸も殆ど含まない「ただ酸っぱいだけの酢」です。

本物の「米酢」は味がまろやかでツーンと鼻を刺しません。エキス分が濃いので薄めても旨味が消えません。良い調味料は少量で効果があるからお買い得かもしれません。しかし、米酢にも一つ欠点があります。

雪印の事件以来、消費者は食べ物の安全性や清潔性に敏感になっておられるようです。先日若い男性のお客様からクレームをいただました。酢が腐っていると言われるのです。内心「酢が腐るわけないやろ」と思いつつ、そんなこと口に出すわけにもいけませんのでその酢の臭いを嗅いでみました。すでに分かっていたのですが、やはり米酢特有の「ムレ臭」でした。この臭いが米酢の唯一の欠点なのです。このお客様はかなり鼻の良い方だったのでしょう。ちゃんとご説明してご理解いただきました。

毎年新酒が出来ると飯尾さんから試飲会のお誘いが有ります。私は大変な日本酒好きで毎日四合は飲んでますが、飯尾さんの酒は雑味が多くて飲めたものではありません。でもそれでいいんです。飲用の酒造りは米を磨いて中心部の澱粉質を使いますが、造酢用の酒はアミノ酸を旨味とするためタンパク質を有る程度残して精米するからです。

酢酸発酵が終わっても8ヶ月熟成させ、酒の段階から実に12ヶ月もかけて飯尾さんの米酢は、熟練職人の経験と勘で作られます。美味しくて体によい(クレブスサイクルというノーベル賞を取った理論で酢が疲労物質を除くことが証明されました。詳しくはhttp://www.hana-maru.com/fukuyama/)本物の米酢は22世紀にまで残して貰いたいものです。

飯尾さんのホームページです。http://www.y-tec.com/fujisu/f_0002.htm

— 暮らしの中での利用 —
★染色の色止めに
酢を入れた水で仕上げ洗いをするとハゲないし、色止めになる。

★おむつかぶれを防ぐ
おむつ洗いの最後のすすぎ水に酢を少量入れるとよい。

★壁、木細工、板すだれの汚れをとる
酢を4分の1カップ、アンモニア2分の1カップを1リットルの湯に入れる。これにひたした布で洗った後、きれいな水ですすぐときれいに落ちる。

★ヒビ、アカギレをなおす
毎日、うすめた酢につけるとなおる。

★ガラス食器の汚れをとる
洗い水に酢を入れて洗うとツヤがでて美しく光る。

★排水管のツマリをとる。
一握りの重曹と2分の1カップの酢を排水管に注いでから水を流
すとよい。

★シャックリがとまらない
盃一杯の酢を水でうすめて飲むと止まる。

★皮製品の汚れをとる
酢をつけた布で拭くときれいになる。