『狂牛病(牛海綿状脳症)が日本でも発見され、大変な問題となっております。それに関しまして、現時点で牛肉あるいは牛由来の食品から人への感染は、ゼロとは言えませんが、限りなくゼロに近いと考えております。1996年3月、はじめて牛から人への感染が確認された英国では、18万頭の牛を処分しましたが非定型的なクロイツフェルト・ヤコブ(nvCDJ)で亡くなった患者は約100名でした。また、日本ではごく少数の農家しか肉骨粉を飼料として使っていませんでした。動物性飼料を使う限り、牛が牛海綿状脳症を発病する可能性は必ず有りますがその脳等を食べたとしても、人への幹線は専門家による多めに試算した数字でも、約1億7000万人に1人といわれています。リスクとしては非常に小さく、交通事故や煙草によるリスクよりも遙かに小さなリスクだと考えます。従いまして、当店としましては現時点で、いたずらに牛肉や牛由来の商品を引き上げる様なことは致しません。(メーカーよりの返答で危険部分を使用していたという場合はのぞきます)冷静に事態を見守ろうと考えております。よろしくご理解ください。』

というお知らせを店のあちこちに貼りだした。二頭目の牛海綿状脳症に感染が疑われる牛が出た、と報じられ日本中がまたもやパニックとなった。農水省はEUより、フランスなどと同じレベル3の危険があると指摘されていたのに適切な対応をせず、万が一日本に牛海綿状脳症が出た場合のシュミレーションなど全く考えていなかったことがこのパニックのそもそもの原因である。この責任はきっちりとってもらうぞ!

この問題の風評被害は相当なものである。当店でも牛肉の売上は激減したが、価格競争で死活をかけた戦いをしている外食産業や流通業など、ただでさえ不況の嵐に痛めつけられていたのにこの騒ぎ。倒産や事業縮小が当たり前になるだろう。その責任の一部は、マスコミと大手スーパーにもあると思う。0-157の集団食中毒事件における「かいわれ大根」を思い出すといい。私はいまだに「かいわれ」犯人説を疑っているが、仮に「かいわれ」が汚染されていたとしても日本中の「かいわれ」が汚染されているわけではないのに、「かいわれ」犯人説が報道されるやすぐに大手スーパーの店頭から「かいわれ」は消えてしまった。その結果、弱小な「かいわれ」業者はばたばた倒産していった。冷静に考えれば全く馬鹿げたことだと思う。

消費者を食中毒や牛海綿状脳症から守ることはもちろん第一優先だが、冷静さを欠いたセンセーショナルな報道や行動には、風評被害による弱者への被害を全国単位で広げる側面があることを考えるべきだ。今回の問題で一番深刻な被害を受けるのは畜産農家だろう。なぜなら一番の弱者だからだ。出荷が停められ、仔牛の価格も付かず、搾乳牛の廃牛も出来ない、かなりの期間肉牛の相場も上がらないだろう。その間も牛は餌を食べ続ける。これまで訪問した畜産農家の方々の顔が思い浮かぶ。