先日、京大農学部の西村和雄先生の「農業者のための有機農業口座」を受講した。今回の内容は、野菜それぞれの栽培のコツで、それはそれで面白く勉強になったのだが、農林省のガイドラインが設定され、日本では有機農業者認定を受けることが非常に難しく、例えば有機栽培をしている水田でも、水の上流に化成肥料や農薬を使用している水田があれば認定されない。また第三者による認定費用が農家にとってはバカ高く、認定を受けるのが難しい。

今後大企業が中国などに大規模な農地を作り、有機栽培の認定をとって農作物を生産して日本に持ってくるだろう。そうなれば国内生産者には大きな痛手となるが、その様な農地は汚染されていない広い土地が必要で、海外でも乾燥地帯などに限られるだろう。

乾燥地帯は雨が少ないので窒素がたまりやすく、生産物は窒素過多になりやすい。窒素過多の野菜を取り入れるのはブルーベビーや牛のコロリ病などの例(日記の窒素の話参照)を見ても大変やばい。国内の生産者が対抗出来るのはこの点では無いだろうか。という話を聞き、私が以前から考えていたことと同じだと、内心ちょっと嬉しかった。

NHKのクローズアップ現代で、アジアの各国が経済危機のあと、国を挙げて農業に本気でてこ入れし、日本をターゲットとした農政を行っている様子を放映していた。韓国などでは大統領自身が農家を激励し、野菜関連のニュービジネスが生まれ雇用も拡大し、外貨を獲得している。

国内の産地は売上の減少で大きな打撃を受け、この数年来右肩下がりの傾向が続き、回復の良材料は一つも無いらしい。IT革命も結構だが、食料自給率40パーセントの現状に政府は危機感は無いのだろうか。先日ドイツを視察した人の話では、ドイツ人は「食料問題は第三次世界大戦である」と認識しているとのことだった。政府も政党も、戦後このかたやってきた農村の票目当ての補助金ばらまき農政を、ここらで本気になって改革しないと大変なことになる。

西村先生に聞いた良い話。

アメリカにバーバングという園芸品種の育種者がいた。沢山の品種を作り出し、その業界では非常に有名な人だったらしい。そのバーバングが最後に作ろうとしたのが棘無しサボテンだった。砂漠に自制しているサボテンを、羊たちが棘で口の回りを血だらけにしながら食べている光景を目にして、棘無しサボテンの育種を思い立った。しかし、このバーバンクですら何度試みてもうまくいかない。最後にバーバングは、「私がお前達を守ってあげるから、もう棘など出さなくもいいんだよ」とサボテンに話しかけながら育種すると、ついに棘無しサボテンが生まれたのである。その結果、羊たちは棘を気にすることなく食料を得られ、一方でサボテンは世界の乾燥地帯に広まっていった。