バルサミコ酢とは、イタリア語Aceto Balsamico、英語でBalsamicVinegerで、Balsamとは、植物などから摂った香りの成分、油や汁などをいい、「香り豊かな酢」という意味です。イタリア北部エミリア・ロマーナ州のモデナとレッジョ・ロマーナの一帯を中心に作られている、長い伝統をもつ醸造酢です。煮詰めたブドウ果汁を、蒸発によって減った分だけ継ぎ足すことを繰り返し、木樽で長期熟成させます。この絶えない作業により、独特の色合い、濃度、風味が醸されるのです。

すでに11世紀には、この地方の上流階級の領地内で盛んに作られていたようですが、一般庶民は勿論、他の地域の貴族達までこの酢の存在を長く知らず、世に知られるようになったのはこの20年ほどです。

製造方法は、トッレビアーノ種などの糖度の高い白ブドウの果汁を搾り濃縮させたものに、ワインビネガーを一定量加えます。通常の醸造酢では、果物や米などを先ずアルコール発酵させ、酢酸菌によって有機酸を作り出すのですが、バルサミコの場合はこれらの発酵が木樽の中で複合同時発酵されます。鹿児島の壺仕込み黒酢と似ていますね。そしてそのまま長期に渡り熟成されます。

またバルサミコ酢は、モデナにあるバルサミコ協会によってラベルの表示や製造方法、品質に関して厳格に規定されています。
1.Aceto Balsamico di Modena(アチェート バルサミコ ディモデナ)
2. Aceto Balsamico tradizionaie di Modena(アチェート バルサミコ トラディズィオナーレ ディ モデナ)
3.Aceto Balsamico tradizionaie di Modena di Reggio-Emilia(アチェート バルサミコ トラディズィオナーレ ディ モデナ ディ レッジョ・エミリア)に分類されています。

1.のAceto Balsamico di Modenaの認定は、濃い褐色の液体であり、甘酸っぱく、アロマの深いもの。酸度が6.0以上あり、1リットル中エキス分が30g以上あるもの。熟成させる樽の素材が品質の高い樫・栗・桑・ネズであること。が条件ですが、カラメル色素の使用は認められ、樽の移し替えや熟成期間の規定はありません。

2.Aceto Balsamico tradizionaie di Modenaと3.AcetoBalsamico tradizionaie di Modena di Reggio-Emiliaでは規定はさらに厳しく、ブドウの品種と地域が限定され、熟成期間は最低でも12年、移し替える樽の素材も細かく定められています。この二つは多分世界で最も高価な調味料でしょうね。私は先日、原液120年もののバルサミコを味見させていただきましたが、声も出ませんでした。さすが「公爵の酢」

バルサミコは肉や魚料理のソース、ドレッシングやマリネなどに極少量入れるだけで見違えるほど美味しくなります。最近では和食にも取り入れておられる料理人もおられるようです。