4月2日より5日まで、鹿児島・熊本へ出張しました。今回の出張は電子イオン水の装置とジェム有機資材・飼料のメーカーである(株)ジェムへの訪問と、実際にそれらを使った食品メーカーや農家の視察が主な目的でした。

午前9時に伊丹を飛び立ち、10時10分に鹿児島空港につくとジェムの米丸専務が車を用意して待ってくれていました。先ず、クッキーというスーパーの豆腐工場を見学です。もう作業は終わっていましたが、豆腐工場に特有の臭いがしません。というのは、工場の天井にマイナスイオンの発生装置を付けてあり、床の洗浄も豆腐製造の水も電子イオン水を使っているからです。

原料の大豆はアメリカ産の安い大豆だそうです。その大豆を袋のまま、碍子で絶縁された台の上に積み上げ、電子をチャージします。その後電子イオン水に浸漬すると、ポストハーベストなど残留農薬や汚れが溶けだすそうです。そこで作られたもめん豆腐を買って帰り夕食時に試食しましたが、しっかりとした味で大豆の香りも有り、とても輸入大豆から作られたものだとは思われませんでした。あまり豆腐が好きじゃないと言っていた、同行した麺メーカーの薬師庵の山下社長も感心して食べていました。

昼食後、川内市にある「堀さわやか農園」を時間が余り無かったので車の中から見ましたが、ハウスの中にはイチゴが立派に育っていました。この農地では、かつてゴボウを慣行農法で長年作っていましたが、化学肥料の多用と農薬で地力が無くなり放棄された土地をクッキーの堀会長が借り受け、ジェム有機資材のみで農業を始めたということです。

初めは回りの農家は「あそこで農業しても無駄だ」「何も収穫できないよ」と言っていましたが、現実に素人が立派に作物を作ると、驚きとともに有機農法に関心を持ったようです。

それから宮崎県えびの市に移動し東康夫養鶏所を見学しました。ここでは飼料を10トントラックごと電子チャージし、水は総て電子イオン水を使い、微生物が多いジェム電子飼料を鶏一羽につき一日1グラム与えています。鶏舎は解放鶏舎でケージ飼いです。

この養鶏所は殆ど臭いがしません。普通、鶏は腸が短いので餌の55%~60%位しか消化出来ず、未消化の餌が腐敗してガスが出て臭うのですが、ここの鶏は90%以上の消化率で、遠くからでも農家が鶏糞を買いに来るとのことです。最近の鶏糞は化学物質が多く、また窒素が多すぎるので使えば使うほどダニが発生し、鶏糞は使われずに産業廃棄物となっています。また鶏は臆病で、知らない人が近づくとおびえて暴れたり騒ぐものですがここの鶏は全くおとなしくしています。

飼料そのものは大豆やトウモロコシが主体でアメリカ等からの輸入品を使うしかなく、市販の配合飼料なのですが、電子チャージする事によりより安全な飼料となるそうです。電子チャージする前の飼料を嗅ぐとツーンと嫌な臭いがしますが、チャージしたものは甘い匂いに変わっています。この方法を始めて三ヶ月くらいで好転したようですが、初めの一月半のとき産卵率が落ちてしまいました。それは餌の消化率が高まったため鶏が肥満してしまったためでした。そこで餌のカロリーを抑えると産卵率も戻ったそうです。餌代の節約にもなったのですね。

東さんは、食べ物がそんなに体に悪い影響を与えているとは考えていませんでした。農業学校では化学肥料はこれだけ使いなさい、農薬はこれだけ使いなさいと指導を受け、東さんは実直な性格の方ですので、その指導を確実に守り、鶏舎の消毒なども指導以上にして、餌の中に抗生物質を「まじめ」に入れていたそうです。

しかしジェムと出会い、食品に含まれる添加物や残留農薬などの化学物質が人の健康に悪影響を及ぼすということを知り、また抗生物質や鶏舎の消毒をいくらしても鶏は病気になってバタバタ死ぬことを経験して、ジェムの養鶏に切り替えました。

普通養鶏家は雛を入れるとき、鶏舎の水洗いのあと消毒をしますが、東さんはもう消毒はせず、薬品も一切使わずとも鶏の病気は極端に減りました。殺虫剤や鶏舎の回りに除草剤もまきません。それらが地中に入ってガスが出て、鶏がそれを吸い込むと気管支炎などの病気が出ると知ったからです。ここには約25000羽の鶏がいますが、健康のレベルが全体的に上がったため、少々の病原菌が入っても発病しなくなったと言います。また、玉子も黄身の高さが高くなり、臭みが消えました。

東さんは18年前から野菜や米も有機農法で作っておられますが、根が太くなり、上の部分もしっかりとした物が出来るといいます。化学肥料と農薬を使っていた頃は根が細く、病虫害が多かったのですが、今は殆ど病気も出ず虫も付きません。三年前、南九州を襲った台風でも、回りは倒れてしまったのに東さんの稲は弓なりになって持ちこたえました。

「山の雑木林は世代交代しながら何千年も繁栄している。人が欲を出して微生物の働きを殺してしまうと農業はできなくなる。あまり自然の循環を崩さない、土壌をいじめない農業しか成り立たない。」と東さんは考えています。また、アトピーなどの医学が治しきれない病気や奇形、若者の「キレル」のも、農家が安全な物を消費者に提供できるようになると減るんじゃないか、安全で、うそ偽りのないものを提供するのは自分も気持ちがいいし、社会に少ないながら貢献できていると思えるのは大きな喜びです。

普通、養鶏場では病気を心配して外部の人を鶏舎に入れません。しかし東さんのところはいつもオープンで、見学できます。東さんの自信の現れなのでしょう。アトピーの子どもを持つ親から、東さんの玉子なら症状が出ないと多くの礼状が寄せられていました。


東 康夫さん