4月3日、朝8時半にホテルを出て、熊本県玉名郡横島町の「上村ファーム」に向かいました。今日は(株)ジェムの新入社員三人も同行です。

上村ファームは海を埋め立てた干拓地にあり、昭和36年に汐留めし農地としては同46年くらいからで、30センチも掘れば海水がわき出す条件の厳しい土地にあります。上村さんのお父さんの時代から30年、トマトを栽培されています。私たちが訪れたとき、ちようどマルハナ蜂をハウスに入れて受粉をさせていました。

上村さんが就農したのは20才の時で、塩は出るし水はけは悪いし、暗渠排水設備の有る所しかトマトは育ちませんでした。トマトの病気、尻腐れ病や害虫に悩まされつつ10年ほどは何とかトマト栽培を続けていました。当時は病気が出れば、一週間に一度の農薬散布は当たり前だったそうです。疫病がひどい場合は、一週間に3度も4度も農薬を撒いていました。

「消費者にとっては、微量の残留農薬が心配でしょうが、私たちは農薬を頭からかぶるんです。身の回りには胃腸や腎臓・肝臓などの内蔵欠陥をおこした人達がいっぱいいました。私はまだ若かったのですが、この状態で何十年も農業を続けて行くことが心配でした。また、仲間内でもこのことが話題になっていました。そうは言っても慣行農法に変わる技術も知識もなかったから、お先真っ暗の状況でした。そんな中、今ら20年ほど前化学肥料や農薬に頼らずとも野菜の栽培が出来るんだぞという情報を得て、それなら取り組んでみようかと有機栽培を始めたのです。しかし土壌が悪く、堆肥も相当入れたに係わらず病虫害が発生していました。しかし、10年ほど前からは一般の農家程度にはトマトが取れていました。その当時にジェムと出会ったのです。」

「上を見れば自分達より多くの反収を上げている人がいる。自分もより多く取りたいと思いジェムの資材を使ったところ、以前は安全性も有りましたが味が淡泊でしたが美味しくなり、収量も増えました。」

上村さんは20段トマトを採ります。一般的には8段、良く採って10段でしょう。ですから上村さんの反収は通常の2倍以上です。しかし、ジェムの資材を入れさえすれば良いというものでもなく、換気や水、冷気対策など、トマト栽培の技術も大事な要素です。この日は大変暖かい日で、ハウスの中では汗をかくほどでしたが、これほど温度が上がると虫が寄って来るはずが、上村さんのハウスには蜂しかいません。

トマトの新芽を摘んでみました。産毛がみっしり生え、食べてみても何のえぐみもなく、甘く感じられて山菜の様で天麩羅にしたいほどでした。ビニールマルチを剥がしてみると団粒化が進み、スポンジの様なふわふわした土でした。今は、化学物質を恐れて牛糞などは入れていません。蜘蛛や地虫がはい回っています。化学肥料ではこうはならず、虫はいません。葉っぱの厚みが厚く、葉にさわると臭いを出します。そうやってトマトは害虫を寄せ付けないのです。

上村さんのトマトは殆ど水に沈みます。密度が高いためです。この時期でさえ甘みと酸味のバランスが非常に良く、美味しいトマトです。干拓地のため海水由来のミネラルが多いのが幸いしたのかも知れません。


上村さん