縁あって神戸のチーズ専門店「ヌーシャテル」を、ワイン&チーズ担当のアベルと共に訪問した。縁あって、というのはその経営者前園光久氏が以前大手のチーズ専門商社に勤務されており、京都支店で当社の担当だったのだ。その後彼は神戸に転勤になり音信も絶えていたのだが、数年前ある雑誌にヌーシャテルと前園氏が紹介されていたのを見て、さっそく行ってみた。残念ながら社長は不在で、店内を見学しチーズやその他の買い物をして、名刺を置いてその日は帰った。

一度連絡しなければと思いつつも時がたち半ば忘れていたのだが、先日突然前園氏から電話があり当社に訪ねてこられた。約10年ぶりに再会したのだが、白髪が増えた他はあまり変わっておられなかった。懐かしいよもやま話をして、近く神戸の店を訪問する約束をした。

以前訪問した店舗ではなく、今年の一月に移転していて少々まごついたが、「ヌーシャテル」は神戸市灘区にあり、白壁と深いグリーンのテントが印象深い建物で一階がチーズ等の物販店で、二階はレストランになっている。先ずは昼時でもあったので二階に案内され、そこに前園氏が待っていてくれた。

ランチをご馳走になる。ここのランチは1800円から、チーズ専門店だけあって各料理には様々なチーズが使ってある。今日はその1800円のランチを頂くことにした。メインは肉と魚が選べ、私は魚を、アベルは肉を選択。

サラダは生ハムのサラダ。トマトやメロンのざく切りの上にプロシュートをのせ、さらに夏野菜やルッコラ等のハーブ、薄切りにしたパルメジャーノ・レジャーノをちりばめフロマージュ・ブランのソースでいただく。パルメジャーノの濃厚な味が魅力的なアクセントになっていて、生野菜とのコンビネーションがとても新鮮に感じられた。

アベルのメインは牛フィレステーキ。ミディアムに焼かれたステーキは一口にカットされグリルされたマッシュポテトの上に茄子、オクラ、サンド豆、イタリアンパセリとともに美しく盛りつけされている。ソースはバルサミコのソース。

私は甘鯛のパイ包み。グリルされたマッシュポテトをベースにして、軽く塩胡椒された甘鯛のフィレをパイ生地でくるみ、こんがり焼き色を付けられたものが盛りつけられ、野菜・ハーブと共に手長海老のグリルが添えられていた。さくっとしたパイの歯触りとバターの香り、甘鯛の甘みがとても美味であった。

デザートの前に、特別にチーズの盛り合わせを出して頂いた。ノルウェーの「ゴートチーズ」、フランスの「モンブリアック」、ウォッシュタイプの「マンスティール」、それらとフライド・アーモンドとさんざしが添えてあった。

山羊と牛の乳を混ぜて作られるゴートチーズは、ミルクチョコレートの様な色をしておりほのかに甘くキャラメルのような味と表現出来ようか。さんざしの酸味と良くあった。さんざしには脂肪を燃焼させる効果があるというので、チーズの乳脂肪を気になさるならこのコンビはうってつけだろう。モンブリアックはパリ近郊の、比較的新しい工場で生産されているチーズで、表面に黒っぽい灰がまぶされ見た目は悪いがカットすれば乳白色の美しい断面が現れ、室温ですぐにとろりと流れ出てくるトリプルクリームのチーズだ。見かけは刺激的なチーズのようだがクリーミーで食べやすい、ナチュラルチーズはどうも・・・という人にもおすすめなチーズだ。迂闊なことに、灰をまぶす意味を聞くのを忘れてしまった。お馴染みのマンスティールであるが、熟成具合の何とピッタリなことか。これ以上でもこれ以下でもいけない。アーモンドと非常に相性が良い。

次の特別は、チーズだけのピッザ。フロムダンベール、モッツァレラ、カマンベールの刻んだものを南イタリア風のパリッとした薄手の生地にのせ焼いただけのシンプルだが贅沢なピッザである。ソースもいらない。あつあつを頬張るとチーズの持つ香り・塩味・脂肪のリッチな味など、すべてのものが口の中に広がるゴージャスなピッザだった。実はこれが一番のお気に入りとなった。