岩手県花巻市に出張した。同行したのはうちの惣菜部の奥村と、宇治の「スーパーいけもと」の専務取締役である池本さん。花巻市は人口72000人で盛岡に継ぐ岩手第二の都市である。今回の出張の目的は「まるこうタシマ屋フーズ」で惣菜の勉強をさせていただくことである。

まるこうさんは花巻市に二店舗、水上市に一店舗を展開しておられる地元では草分け的な存在のスーパーマーケットである。今回お邪魔したのは花巻市西大通りにある「まるこうタシマ屋フーズ・ショッピングセンター」である。一階は食品を中心としたスーパーマーケットで、厳選された生鮮食品はもとより調味料など東北ではなかなか得られない商品が並ぶ。二階は和洋の雑貨と衣料品、三階はいま流行の100円ショップである。

まるこうさんが特に力を入れておられ、業界で有名なのはお総菜。20年以上の実績を持ち、農林水産大臣賞、厚生大臣賞を受賞したこともある。ここのお総菜の作業をビデオ化して商品として販売されているほど素晴らしい。私は厨房に入れてもらい勉強させて頂くのはこれで三度目だが、惣菜で悩んだり壁に突き当たるとまるこうさんのお世話になる。
私にとっては強い味方だ。

伊丹から花巻空港まで約1時間20分。9時の便で出発し11時過ぎに到着、すぐにタクシーでショッピングセンターに向かった。昼食を済ませ白衣に着替えて早速厨房へ。
厨房は8坪ほどの広さで、L字型をしている。中央に流し台のついた作業台があり、平行して5台のガスレンジが並び、その奥には左右に天麩羅用とフライ用にそれぞれ専用のフライヤーがあり、L字型の奥には魚焼器と作業台、さらに奥にはアルミサッシで仕切られた炊飯の小部屋がある。

設備といえばそれだけ。オーブンもなく、機械らしいものは玉葱のカッター程度だ。蒸し器は炊飯器に小さな穴を開けた板を置き、その上に蒸籠を乗せて赤飯やおこわを調理している。そのほか様々なアイデアが設備面でも調理方法にも見え隠れする。常時8人前後のスタッフが約400アイテム持つ料理の中から、毎日80種類のお総菜を手作りで売場に提供しているのだから、少しでも料理の経験がある人ならそれがどんなに驚異的なことであるか分かるだろう。

私たちが厨房に入ったのはもう1時を過ぎていたので、現場では明日の仕込みにとりかかっていた。黙々と作業は流れ、明日の料理ごとに材料や調味料が用意されて行く。その時に、所々に吊してある3種類の大きさのビニール袋が活躍する。玉葱を剥いてカットする人は、酢豚用・八宝菜用と切り方を別にして量目を計ってビニール袋に入れ、「酢」あるいは「八」とマジックで書いてバットに納め冷蔵する。限られた冷蔵庫のスペースを有効に使い、明日迅速に調理する実に考えられてる。

勿論安易に化学調味料など使わない、鰹と昆布でだしを毎日とり、鶏ガラでスープストックをとって料理のベースにている。年末などはこれらのだしをお客様が求めるという。

社長の藤田さんの同級生がご夫婦でされておられるイタリアンレストランで食事をご馳走になり、ワインとグラッパで出来上がり、ホテルに戻って爆睡。

つづく