ホーレス・ケプロン HoraceCapron

2001年1月15日

北大のクラーク博士は「青年よ大志をいだけ」の言葉で、誰でも知っている人ですが、今私たちが食べている果物の殆どは、ホーレス・ケプロンというアメリカ人によって日本に持ってこられました。

ケプロンはマサチューセッツの豪農の家に生まれ、南北戦争に志願して将校となった後除隊し、西部開拓の第一人者としてカリフォルニアにグレープフルーツやオレンジ等を広めた人です。

明治政府は明治二年黒田清隆を北海道開拓使の次官に任じ、黒田は翌々年、留学生を伴い自らも渡米して、時の大統領グラントと面会し、当時閣僚待遇の農務長官であったケプロンを開拓使顧問として招聘することを要請しました。

当時ケプロンは67才の高齢でしたが、西部開拓魂とも言うんでしょうか、北海道の開拓に強く興味をもって日本行きを快諾しました。

来日には数名の部下を伴い、果物の種や苗を多く持参しました。国光や紅玉、印度リンゴ、ゴールデンデリシャスなどはケプロンによってもたらされ、品種改良されてフジやつがるに発展してきたのです。ちなみに試験場で収穫された果物は新宿で販売され、有名な果物屋さん「新宿高野」は元その販売所でした。

昔の桃太郎の絵本に描かれている桃は、花落ち(花が付いていた方で、枝についている反対の方です)がとがっていました。でも今の桃はセクシーにお尻型をしていますね。桃は中国の原産で、河北の桃は中成種から晩成種、河南のは早生の品種です。

河南の桃は直接中国から伝わりましたが、布目や倉方などの早生の桃の品種は見た目は美しいのですか゛あまりおいしくありません。いまの白鳳や白桃は、河北の桃がシルクロードを通り、ヨーロッパに伝わってアメリカに渡り、ケプロンによって日本に持ち込まれたものです。河北と河南の桃が1000年の時間を経て、日本で再会したのです。何かロマンがありますね。

でもケプロンは日本の植民地化を頭に描いていたふしもありますが、日本の農業に貢献した功績は大変大きいように思います。酪農を導入したのも、またサッポロビールの前身を作ったのも彼です。

美味しい果物の見分け方

いちご  がくが身の方に被さっているのではなく、逆に天の方へ向かっているもの。
みかん  花落ちが小さいもの
りんご  花落ちが深い物
ぶどう  ブルームがしっかりついているもの。ブルームは植物が出す蝋質で、巨峰などに付いている白い粉のような物です。よく農薬と間違われますが寒暖の差が大きいと自分を守るためにブルームを出します。寒暖の差は果物に甘さを加えます、、従ってブルームのあるのが美味しいのです。

 

前嶋屋さんのお話

2001年1月14日

静岡県引佐郡(いなさぐん)にある「まんぽう峠」の前嶋屋さんは、私の知る限り日本で一番立地条件の悪いお店です。浜松西インターから車で小一時間。スーパーなどの第一次商圏は半径500メートルと言われていますが、前嶋やさんの半径1キロには人が住んでいません。猿の群はいますが・・・。それでもお店はいつも繁盛し、お客様でいっぱいです。私が初めてお伺いしたとき、話には聞いていたものの、カーナビの縮尺がどんどん大きくなっていき、心細くなったのを覚えています。

お酒と食料品を商っておられる小さなお店で、娘さんの恭代さんとご主人、恭代さんのお母様と2〜3人のパートさんで営業されています。お店は木造平屋建て、一見どこにでもある田舎の「よろず屋」風ですが、品揃えは充分吟味された商品が陳列され、引佐名物のキジ肉製品やうどんそば等の地元の商品も力を入れられています。

生鮮食品は地元で採れた野菜が有るだけなのですが、それでもお客様が車でわざわざ来店されるのは、品揃えの良さばかりではありません。恭代さんを初めとするスタッフの接客の良さでしょう。

特に安代さんのそれは多分天性の物で、観察していますと、お客様は安代さんがお勧めした商品は100パーセント買って帰られます。まるで後ろに目が付いているように、いまお客様の応対をされているかと思えば、おばあさんがお買い物を済まされ出口に向かうと、手をとって、車などの危険がないか確認し、家族が待っている車までご案内し、すぐにとって帰ってまた話の続きをされるのです。

店内総てに心を配り、気を使って動き回っておられます。商売の原点を見たような気がし、立地条件がどうのこうの言う前にお客様に対する姿勢を正さねばと思い、赤面する思いで帰ってきました。でもなかなか難しいものです。とくに若い従業員は、先日の成人式事件をみても、基本的な道徳というか規則とか一般社会通念が欠落している者もいて、たびたびお客様からお叱りを受けます。やはり意識の改革から始めないと・・・。

前嶋屋さんとはいつも情報交換し交流させてもらい、時々従業員を研修に連れていきます。二人の可愛い赤ちゃんが写った年賀状を頂きました。ご主人康一さんに貰った名刺は、たばこのカートンを再利用したもので、とても好感がもてたのでパクらせてもらいました。ですから私の名刺には「再生紙不使用」と小さくはいっています。

お近くに行かれましたら是非お立ち寄り下さい。気持ちの良いお買い物を保証します。
静岡県引佐郡引佐町東黒田277-1-1 053-544-0735

 

まかない

2001年1月13日

時々従業員の「まかない」をします。だいたいサンプルやロスの材料を使って作るのですが、一人300円貰って生活費にしています。これまで30回くらいまかないをしましたがリクエストのあったものをのぞき、総て同じ料理は出していません。

私は常々「青果部のゴミ箱は宝の山」と言っていますが、肉など高い材料が必要なときは「フレンドフーズは高いので」よそのスーパーに買い物に行きます。(本当です!)思いつきメニューが多いのですが、商品化されたメニューもかなりあるんですよ。デリカ部で「社長シリーズ」とあるのが私の思いつきメニューです。「社長シリーズ」なんて森繁久弥みたいでいやや〜。一つ二つレシピをご紹介します。

シュウマイ風カネロニ
ニラ 2束
干し椎茸 15g
生姜 70g
タケノコ水煮 150g
白ネギ 2本
豚ミンチ 300g
ぶたばら肉 300g
片栗粉 50g
たまご 3個
ごま油 50g
醤油 30g
オイスターソース 10g
がらスープ 30g
カネロニ40〜50本

1 ニラ・戻した干し椎茸・白ネギ・生姜はみじん切りに。
2 タケノコ水煮は7〜8mm角に切る。
3 豚バラ肉は7〜8mm角に刻む。(刻みにこだわっています。半冷凍にしてくと刻み安いです)
4 上記すべてに片栗粉・玉子・ごま油・醤油・オイスターソースがらスープを加えよく混ぜ合わせる
5 たっぷりのお湯に塩とサラダ油を加え、正確に4分カネロリをゆでる
6 氷水を用意しておき、茹で上がったカネロニを冷やす
7 カネロニを取り出し、水気を切ってサラダオイルをスプレーしておく
8 4をビニール袋に詰め、口を適当な大きさに切りカネロニに詰める
9 詰め終えたカネロニの両端に片栗粉をつける
10 クッキングペーパーを敷きカネロニを並べて必ずオイルをスプレーして98度で10分蒸す。

鴨塩釜焼
鴨ロース1枚
マッシュルーム1パック
大蒜 1〜2かけ
赤ワイン 100cc
バター 大さじ1
生クリーム 100cc
レタス 外葉1枚
胡椒
塩500g
鶏卵1個

前日
1 鴨ロースは皮にだけ塩胡椒を強い目にふっておく。
2 フライパンを熱し、鴨ロースの皮を下にして中火で加熱する。フライパンを傾け流れ出す油をペーパータオルなどで総て取る。
3 皮に火が通ったら取り出し、皮と身の間に金串を二本差し込み吊して余分な脂を滴らせる。そのままであら熱を取る。
4 鴨がさめたらペーパータオルで脂を拭き取り、赤ワインに一晩漬け込む。
5 マッシュルームは刻んでざるに入れ、ボールで受けて強火で10分蒸す。
6 マッシュルームと、ボールに残ったキノコエキスは冷蔵保存しておく。

当日
7 塩をボールに入れ、卵白を加え塩がふわっとなるまで混ぜる。
8 耐熱皿にクッキングペーパーを敷き、塩を薄く広げその上に鴨ロースを身を下にして置く。
9 皮の上にマッシュルームと刻んだ大蒜・ローズマリーを載せ、パルメザンチーズをふ り電子レンジで加熱しておいたレタスをかぶせる。
10 残りの塩で9を覆ってしまう。
11 200度で10分、オーブンで加熱する。
12 茸エキスと生クリームとバターを湯煎し、卵黄をだまにならないよう、とろっとす るまで混ぜる。塩胡椒でソースを整える。
13 塩に軽く焼色がつけば取り出し、塩を割って切り分ける。

 

おいしいものをおいしく食べるすすめ
 「暮らしの手帳」より NO3

2001年1月11日

(NO2よりつづき)

3 いかにも体によさそうな売り方をしている商品は本当に体にいいのだろうか・・・。たとえばコラーゲン飲料について

食品の安全性は増した、とはいえ、私たちはまだ安心するわけにはいきません。そのいい例が「コラーゲン」入りとうたった清涼飲料です。容器にかかれた宣伝文句に、ヒフに関するものが多いのは、コラーゲンがヒフや骨などを作っている蛋白質で、細胞の分化や増殖にも関係し、年齢とともに、その合成が減るといわれているからです。

「お肌のうるおい成分・・・・が入ったヘルシーな、のむヨーグルト」「お肌にやさしいコラーゲン・・・あなたのキレイをサポート。コラーゲンは体を構成する蛋白質の一種で細胞と細胞をつなぐ働きをもっています」「お肌に美味しい・・・コラーゲンはお肌の真皮の約70パーセントを占める重要な成分です」

この宣伝文句は問題です。というのも、のんだコラーゲンは、決してコラーゲンそのままのかたちで吸収されることはありません。コラーゲンは蛋白質ですから、吸収されるのはそれが分解したアミノ酸としてです。コラーゲンを作っている同じアミノ酸なら、どの蛋白質からとってもいいわけです。

また、効果がありそうに宣伝している「特定保健用食品」はどうでしょうか。血圧を下げるという飲料があります。虫歯の原因になりにくいというガムがあります。お腹の調子をととのえたり、ミネラルの吸収を助けたり、血液の中性脂肪の上昇を抑えたりという食品もあります。

この特定保健用食品は、一時、機能性食品といわれていたもので、いま百種類以上が認められていますが、あくまで、「食品」として検査され、表示が許可されたものです。

したがって、特定保健用食品はクスリではありません。つまり、はっきりした効果はないのです。たとえば、病気ではないが、日頃血圧が高いかなとおもっている人がのんで、気のせいか、少し血圧が下がったかな、と感じるような食品です。それは注意書きにも明示されています。「血圧が高めの人に適した食品」であって、「高血圧症の予防薬および治療薬ではない」と。

特定保健用食品をつくろうとしたきっかけは、世間に氾濫する「健康食品」を規制するためでした。健康食品の世界は、さらにあやふやです。なにより、特定保健用食品にあった客観的な評価がありません。そして、効いた!という声だけがずいぶん大きいのです。

そんな情報の発信源のひとつ「健康雑誌」の最新号を見てみましょう。「トマトダイエットで15キロぜい肉が激減」「脂肪もダイオキシンも排出する食べる炭」「総白髪がみるみる黒く変身・きな粉ドリンク」「耳鳴りが消えたレモンの生汁」「マイタケはガンに効く」「ガンも高血圧も肌の老化も防ぐブロッコリー」

この種の健康雑誌に、かこ十年間でもっともたくさん登場したのはアロエ、ついでニンジン、ニンニクの順でした。

最大の問題は、頁を繰るたびに目にとびこむ「治った!」という文字、そしてそれがすべて個人の体験だということです。治った方は、ほんとうに良かったと素直におもいます。しかし、医学では「治った」という言葉は、非常に慎重につかわれています。患者さんにあるクスリを投与したら病気が治った、としてもそれだけでそのクスリで治ったとはいいません。クスリを飲まなくても治ったかもしれないし、病気でなかったかもしれないからです。

「治る」という言葉の裏には、ものすごい手間と綿密な客観的な検証が隠れているのです。それが医学の常識のはずです。もし、これらの雑誌の記事が事実なら、治ったという療法や情報について、なぜもっと科学的に検証され、正式な場で、多くの人の理解がえられていないのでしょう。

一人のがん専門家の話を思い出しました。彼は化学療法の専門家で、昔からインフォームド・コンセントにつとめ、治療も欧米のきびしい尺度でやってきた人です。彼はいいました。「すべての患者さんが特効薬を待ちのぞんでいます。効いたとか病気が治ったというなら、きちんと手順をふんで、すべての患者さんがその恩恵に浴することができるように努めるのが医者の役目です」まったく同感です。

おわりに

自分の健康は自分で守時代です。「食べ物信仰」がここまで盛んになったのは、健康に対する不安があるからです。恐れているがんや痴呆や生活習慣病の予防に、もし食事が少しでも役に立つなら・・・。毎日食べなければ生きていけない私たちにとって、健康の基礎が食べ物にある、いうのは素直に納得できます。しかし、その食べ物に、手軽で安易な効き目を期待するのは間違っています。また過去の栄養学の歴史には、いいといわれていたものが、一転して、あれは危険、となったものがたくさんあります。食べ物に薬効を期待するのは、その意味でも危険です。

いったい私たちは、なんのために食卓にすわり、一日三度、食事をするのでしょう。健康で病気にならないためもある。しかし、その前に、食べ物からしか得られない味覚のすばらしさ、たのしさと、食べ物を通して、家族や友人たちといっしょの時間を過ごすことで得られる一体感を味わうためではないのでしょうか。

「食べ物信仰」のもとになっているのは食品の成分と栄養素ですが、私たちの食べているのは料理です。それがとれぐらいちがうことなのかは、おそらく21世紀にならないとわからないでしょう。それがわかったときこそ、栄養学が、栄養素の働く細胞単位の科学ではなく、私たち人間全体を見据えた等身大の科学に成長したときです。

その日まで、食べ物に関する一見科学的で新しそうな情報を目にしたときには、鵜呑みにしないで、いったいどんな実験が元で、何がどこまで明らかになっているのか、きちんと確認したほうがよさそうです。

食生活に関心のある人ほど「食べ物信仰」を信じているのも、良質な情報をきちんと書いてある雑誌や単行本が少ないからです。それを提供するのが、本来は私たちマスコミの仕事なのです・・・。食べ物を本来の食べ物の姿にもどしましょう。それは、おいしいものを、まんべんなく、おいしく食べることです。

おわり


 

おいしいものをおいしく食べるすすめ
 「暮らしの手帳」より NO2

2001年1月10日

(NO1よりつづき)
2   からだにわるいとけなされているものは、本当に体に悪いのか・・・酸性食品や砂糖など

「もし今でもアルカリ性食品は体にいいなどという人が居たら、彼の言うことは、すべてデタラメとおもっていいです」と、専門家は断言しました。そして、ずいぶん強い表現だけど、これくらいのことをいわなければ、世間にはびこる「アルカリ性食品信仰」は終わらない、と言葉をつぎました。(食品には酸性食品とアルカリ性食品があり、大量に摂取すると体液や組織のpHを酸性食品は酸性に、アルカリ性食品はアルカリ性に変えるという仮説。弱アルカリ性になると健康にいいといわれた。ただし、これは食品がからだのなかで燃焼したあとの物質が酸性かアルカリ性かということで、梅干しのような酸っぱいものが酸性ということではない。)

いったいこのウワサをどのくらいの人が信じているのかと、群馬大学の高橋久仁子先生は二千人規模の過去四回行いました。するといつでも次頁のグラフのように、一般成人の半分以上が「アルカリ性食品はからだにいい」とおもていることがわかりました。高橋先生がこんな調査を考えたのは、大学での講義中、栄養学の常識とずいぶんかけはなれたことを、言ったり、信じている学生があまりにおおいのに驚いたからでした。

この酸性食品、アルカリ性食品にしても、もうずいぶん前からマスコミをにぎわしていました。そして一度は完全に否定されたはずなのに、まだ半分以上が信じている・・・たぶん野菜など健康にいいというイメージのある食品の多くがアルカリ性食品ということで、アルカリ性ならけんこうにいいという迷信が残ったのなもしれません。

しかし、はっきりいいますが、アルカリ性や酸性のものを食べたり飲んだりしても、血液や組織のpHは簡単に代わりません。ですから、食品を酸性アルカリ性に分けることすら無意味だというのが、いまの学会の共通の理解なのです。そして高橋先生が調べていくと、さらにおどろくべきことがわかってました。

酸性食品悪玉説は、砂糖とも結びついて、「酸性食品である砂糖をとりすぎると血液が酸性にかたむく。それを中和するために骨からカルシウムが溶けだし、カルシウム不足を引き起こして、子供の骨折やイライラの原因になる」といわれているのですが、普段からきちんと料理を作ったり、健康に気を配っている人ほど、このウワサを信じている割合が高かったのです。

「まじめな人ほど、食べ物信仰の落とし穴に入るようです」と高橋先生はいいます。そして、そんな人たちが共通して「だめな食品」「危険な食品」と信じて排斥しているのが、砂糖、化学調味料、食品添加物、炭酸飲料、ファーストフードなどの食品でした。

名前が出たついでに、これら「けなされる」ことの多い食品に対する誤解も、少し晴らしてておきましょう。例えば砂糖。

牛乳に入れるとカルシウムをこわし、グレープフルーツにかけるとビタミンCを破壊するという素朴な間違いはこの際おきましょう。砂糖にビタミンCを破壊する力はないし、元素であるカルシウムはこわれることはありません。

しかし、砂糖には、日米で大きな風説がつきまとっています。ひとつは、先ほどの砂糖を大量に摂るとカルシウムが流出するという日本生まれの風説。もう一つがアメリカで流布している、砂糖を大量に摂ると、血糖を下げるインシュリンが血液のなかに出過ぎて低血糖になり、それが精神的な病気や非行を起こす、というものです。

アメリカでの砂糖排斥は、日本以上に厳しく、米国食品・医薬品局(FDA)は、1986年、砂糖など糖質系甘味料が健康に及ぼす影響を総合的に検討し、虫歯には影響するが、そのほかの疑惑については、現在にのところ、有害を示す証拠はないと報告しました。その後、WHOなども、調査の結果、おなじような報告をしています。

たしかに、どんな人も砂糖で低血糖になるのなら、糖尿病を診断するときのブドウ糖負荷試験はできないとこになります。これは一度に75グラムものブドウ糖を飲んで、一度あがつた血糖がむ、時間ごとにどのくらい下がっていくかを見る検査ですが、こんな検査ができるのも、低血糖になる人がごく稀だからです。

もう一方のカルシウムの流失についていえば、無機質を殆ど含まない砂糖は、酸性食品でもアルカリ性食品でもありません。ですから、砂糖のとり過ぎが血液を酸性化させることはありません。非行少年の食生活が乱れているのは事実かもしれませんが、それは非行の原因ではなくて結果ではないか、と高橋先生は考えています。

化学調味料はどうでしょう。主成分が刺激伝達物質に近いグルタミン酸ナトリウムのせいか、脳への影響がずいぶん懸念されています。とくにいまは、頭がよくなるといわれた昔とは逆に、幼い子どもの脳に悪く影響し、知能を低下させるという風評があります。

ただ、その元になった実験は、動物に大量に注射で与えたときのものです。餌と共に与えたときは、大量であっても根注射のときにみられた神経や内分泌の異常は報告されていません。

化学調味料をつかうと、塩分をとりすぎてしまうという風説もありますが、実験の結果、化学調味料を加えた方が、少量の塩分でもしっかり感じることがわかりました。

化学調味料はふだん煮干しやかつおぶし、昆布で出汁をとっている人や、その味が嫌いだという人には不要なものです。しかし、料理の味か゛いまひとつ物足りないというとき、化学調味料を一ふりすれば、、料理の味がかわります。風説を信じたために、まずいものを食べることになったとしたら、これは一つの不幸です。

私たち暮らしの手帳が、昔から化学調味料の役割を認めてきたのも、はっきりしない健康に対する不安より、現実においしい料理やみそ汁を食べるほうが、毎日の暮らしにずっと貢献できるとおもってきたからです。

最近は、ごく微量でも作用されるといわれる内分泌攪乱物質(環境ホルモン)の出現で、すべてにあてはまるか疑問になりましたが、とにかく、食べ物が危険だ、危ないといわれるとき、しばしばこの量の問題が無視されていることがあります。

たとえば、ある物質をエサの5パーセントまぜてマウスに数ヶ月与えたら、がんができたというデータがあったとします。ああ、やっぱり危険なんだと、すぐ鵜飲みにしないで、こう考えてください。

私たちが一日に食べる食べ物の重さは約1〜1.5キログラムですから、5パーセントはざっと50〜75グラムになります。こんな量の食品添加物を、ふだんの生活で、数ヶ月も食べ続けることがあるでしょうか。  

加工したものより「生」がいい。その気持ちはわかります。「生」なら自分で調理し、入れたものもわかります。暮らしの手帳も、着色料など不必要な物はできるだけ使わないように求めてきました。しかし現在、食品添加物をまたく摂らない食生活は、ほとんど不可能ですし、豆腐のニガリなどの食品添加物は欠くことか゛できません。

専門家の一人は、スーパーやコンビニで売られている加工食品を「救慌食」だといいました。生産地から離れ、たくさんの人間が住んでいる都会の飢えをしのぐための食べ物は、遠路、時間をかけて運んでも、変質せず、安全なものでなくてはなりません。この救慌食に添加物は必要です。いろいろなグループが、食品の危険をいう背景には、大企業や国に対する根強い不信感を感じます。昭和四十年の公害はなやかな時代、その態度にはひどいものがありました。史実をかくし、都合のいいようにねじまげ、その上で自分達の利益を追求していきました。いまも、その名残はみられます。

しかし、当時とくらべて、今の食品は安全で安心なものが多くなりました。それは生協はじめ、手弁当でつづけた市民運動の大きな成果です。

けなされることの多い食品添加物や化学調味料、あるいは炭酸飲料にしろ、使わなくて済む人はそれでいし、食べたくない人は食べる必要はありません。ただ、頭からわるいものだと決めつけて攻撃するのは、「食べ物信仰」の一つで、妥当ではありません。

つづく


 

おいしいものをおいしく食べるすすめ
 「暮らしの手帳」より NO1

2001年1月9日

「暮らしの手帳」1999年8・9月号に「食べ物信仰はやめましょう」おいしいものをおいしく食べるすすめという記事が有りました。大変共感出来る内容だったので長文ですが紹介いたします。

はじめに

お節介かもしれませんが、私たちから提案があります。ここらで一度「食べ物信仰」をやめてみませんか。そして、普段の食事を、もっと楽しいものにしてみませんか。

「食べ物信仰」とは、体にいいからこれを食べるとか、健康を害するから食べない、と言う態度のことです。以前からありましたが、最近とみに目立ちます。世間話のように、ごく軽い調子で、その場の話題になるのです。

「ブロッコリーがいんだってね」「ココアをのむと癌が予防できるんだよ」「納豆は血栓を作らせない作用か゛あるって知ってる?」コーヒー、レモン、バナナ、赤ワイン、しょうが、ニンニク、唐辛子、昆布、牛乳・・・・いいといれる話題の主を数えだせば、きりがありません。

マイナスパターンは、こんなふうです。「白砂糖をとりすぎると、血が酸性になってカルシウム不足になる」「化学調味料は子供の農に影響し、知能を低下させるからやめよう」・・・こちらも炭酸飲料、食品添加物、インスタント食品、ファーストフードなど、多士済々です。

一方は食べ物を持ち上げ、一方は不安をあおる・・・・正反対のようですが、どちらもおなじ「食べ物信仰」です。

この「食べ物信仰」が、私たちに大きな影響を与えています。いろいろなところから入る情報・風評のおかげで、同じ食品でもずいぶん印象が違ってきました。ためしにご近所のスーパーやコンビニの売場をごらんください。ニンジンはベーターカロチン豊富な野菜として、真っ白でおいしそうな大根はがん予防に効果のある野菜の顔で、グレープフルーツはがん、キウイは高尿酸血症の予防食品として並んでいるようにみえます。

ジュース売場にも、昔のシンプルなジュースや清涼飲料ではなく、なにかしら健康にいいというふれこみつきの飲み物が目立つようになりました。

「からだのことを考えた」「ダイエットサポート飲料」で、中身は「シュガーオフ」で「ポリフェノール入り」、「カルシウムプラス」で「食物繊維たっぷり」・・・健康に効果のあるものでなければ売り物にならないと、さまざまな成分を付け加えたたまものですが、その宣伝の言葉に誤解や間違いはないのでしょうか。また、あたかも常識のように一つの食品を「いい」「わるい」と決めつけている根拠が、間違っていることはないのでしょうか。たとえば・・・・・

1 からだにいいといわれているものは本当にからだにいいのだろうか・・・たとえばポリフェノール

ココアやチョコレートを復活させ赤ワインにブームを起こさせたもの・・・それがポリフェノールです。がんや血管障害などの原因の一つになっている活性酸素を抑える物質として、いまや食物繊維やカルシウムとならんで、食品に添加される三羽ガラスの一つとなりました。

震源はテレビ、その代表が「おもいっきりテレビ」でしょう。「食べ物信仰」を広めている旗頭の一つですが、一方的でセンセーショナルというテレビワイドショーの「方針」がポリフェノール騒動でも見事に生かされました。と、いうのも同じような作用のあるのはポリフェノールだけではないし、そのポリフェノールも、赤ワインやチョコレートだけにとくにたっぷり含まれているものではないことについて、またくふれなかったことです。

じっさい、活性酸素を抑える物質は、あらゆる食べ物に含まれていますし、ポリフェノールもこれまで食品の色や香りを変える厄介者として、いかに除去するかが問題になったくらい、たくさんの食品に含まれている成分なのです。

ごぼうやレンコン、リンゴの切り口が茶色になる(褐変)のもポリフェノールの働きなら、苺やなす、ぶどう、小豆に等に赤や紫の色を付けたのも、健康にいいと評判のお茶のカテキンや、コーヒーのクロロゲン酸もポリフェノールの一種です。

そんな事実に目をつむり、ひたすら赤ワインやチョコレートをもちあげ、それを食べれば老化やがんを予防して、健康になれるかのような幻想をふりまいたのですから、まさに「食べ物信仰」の典型です。(そこに、商魂にたけたメーカーが便乗して、一大ブームが起こったのです。)

赤ワインやチョコレートが好きなら、ポリフェノールのことなどいいわけにしないで、すきなときに、おいしく、食べたり飲んだりすればいいのです。

「食べ物信仰」を言い立てるテレビなどを、苦々しい目で見ている専門家は、少なくありません。話されることが、いまの栄養学や医学の内容と合わなかったり、学会でも認められておらず、結果として栄養教育のじゃまになっているからです。

たとえば、五月最終週の四日間、テレビ番組のなかで紹介された食品食材は、パインアップル、おから、レンコンなど五十種をこえています。そのどれもが「血液をさらさらにしたり」「がんを予防したり」するというのです。

しかし、がんや痴呆、生活習慣病などの原因には運動不足、喫煙、ストレス、肥満、遺伝など、さまざまななものがあり、けっして一つの食品(食材)をとったというだけで決まるものではありません。一つの食べ物、一つの成分を取り上げて、健康にいい、わるいをいうこと自体、間違いなのです。

思い出すのは、一昔前、大ブームになったリノール酸のことです。当時、紅花油などの植物油は、コレステロールを抑えるリノール酸がたっぷり入った健康的な油と宣伝していました。ところが、過剰に摂取するとからだによくないらしいことがわかった今、そんな看板をさげているオイルは一つもありません。

いまもてはやされているオリーブオイルにしても、オレイン酸はたしかにたくさん含まれていますが、ヘッドやラードにだって、たくさん含まれています。そしてカロリーはどの油でもおなじですから、オリーブ油に変えたといって、太らないことはありません。食卓にこれまでとはちがう風味をもたらせてくれる油、と考えたほうが無難です。

「あのテレビの救いは、予防するためにこれを食べましょうと、たくさんの食品をあげていることです。どんなものでも分け隔てなく食べよう、というのが隠されたメッセージだとわかっていただければいいのですが」と専門家は苦笑まじりにつぶやいていました。

つづく


 

米酢のおはなし その2

2001年1月8日

何年か前、NHKの番組「ためしてガッテン」で伝統的壺仕込み製法で知られる鹿児島の黒酢が取り上げられ、しかも再放送・再々放送されて黒酢ブームが全国的にまきおこり、品不足となって当店でも「坂元のくろず」は入荷が遅れがちになりました。

その番組においても医学者などの専門家や健康書・雑誌でも黒酢、中でも壺仕込みの黒酢に対する有効さをアピールしています。しかし黒酢なら何でも良いのでしょうか?

確かに酢の健康に対する効用は実証され、食欲増進、中性脂肪を減らす、善玉コレステロールを増やす、肝機能を活性化させる、疲労物質を出にくくする、殺菌効果、血圧の低下などなど・・・酢の効能で一冊の本が書けるほどです。

米酢の話その1でも書きましたが、酢が体に良いのは、酢酸・クエン酸・リンゴ酸・コハク酸等の有機酸とアミノ酸の働きです。酢には体内では合成されずに外部から摂取するしかない必須アミノ酸と、約20種類ある天然アミノ酸の総てを含みます。さらに玄米を原料とした黒酢では胚芽由来のビタミンやミネラルが豊富です。

但し、それはきちんとした造られた酢に限ります。醸造用アルコールを材料にした大量生産・即醸法による酢は有機酸は酢酸だけ、アミノ酸も殆ど含まれません。旨味のない酸っぱいだけの酢なのです。

昭和60年、衆議院物価問題特別委員会では特殊食酢(黒酢など)について議論され、農林水産省・厚生省・公正取引委員会がそれぞれの立場で調査することになりました。

下の表は日本食品工業学会誌1987年9月号と農林水産省依託経済調査会編集のニュータイプ食品生産流通等実体報告書昭和60年3月号の分析結果を合わせたものです。分析はどちらも東京農業大学醸造学科でなされました。

商品名 製造者・販売者 必須
アミノ酸
その他
アミノ酸
内容量 価格 100ml
単価
富士玄米酢 椛n健社 469 512 900 2300 255.6
ライスビネガー 褐注N医学社 349 392 1000 2400 240.6
赤江酢 五粋 赤江酢本舗 251 346 700 3200 457.1
玄米黒酢 寿 野田発酵食品 251 346 720 2400 333.3
坂元のくろず 坂元醸造 163 202 365 2400 240
赤江の玄米酢 森谷健康食品 165 199 500 2400 480
黒壺酢 末広酵素研究所 105 125 720 3500 486.1
玄米黒酢 ミズホ 60 71 600 2800 466.7
黒酢 重久盛一醸造 29 30 900 2300 255.6


この結果研究者は「比較的高価格で販売されている特殊食酢の一部は、品質・価格に問題がある。」と結論づけています。黒酢メーカーは一様に黒酢のセールスポイントとして浮遊アミノ酸の高さを上げていますが、この分析表によりますとかなりの開きがあり、壺仕込みの黒酢であっても必ずしも高い位置にないことが分かります。

壺仕込みの黒酢はなんか非常に良さそうなのですが、糖化・アルコール発酵・酢酸発酵を複合同時発酵で行いますが、いずれも不完全でタンパク質の分解がうまくいかずにアミノ酸が少なくなっているのではないかと考えられます。

飯尾醸造の「富士玄米酢」(表では製造者又は販売者の欄が(株)創健社となっていますが製造は飯尾醸造です)は必須アミノ酸、その他アミノ酸ともにトップで、しかも100ミリリットル当たりの単価は最低です。

無農薬玄米で一度清酒を造りその後10ヶ月かけて酢酸発酵・熟成され、しっかり・きっちり造られた黒酢の実力なんですね。


 

米酢のおはなし その1

2001年1月7日

皆様の多くは酢が何からどうして作られているのかご存じないと思います。アルコールを酢酸菌という微生物が食べてクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコン酸、酒石酸、酢酸等の有機酸をはきだしたものが酢です。ですから酢は、人類が酒を知ったと同時に酢も知ったと考えられます。「塩梅」と言う言葉は塩と酢で料理の味を決めるという意味です。

日本伝統の米酢はお米から清酒を作りそれを発酵させるのですから、清酒の段階で「糖化」「アルコール発酵」の二回、酢酸発酵で一回、発酵を三回も経て作られる世界にも珍しい優れたものなのです。三回発酵はイギリスのモルトビネガー以外私は知りません。

しかし日本農林規格(JAS)では「米酢」との表示は酢1リットルにつき米を40グラム以上使用したものとされています。でも米だけで酢1リットル作るためには最低でも120グラムが必要で、宮津の飯尾醸造の米酢は200グラム使われています。

それでは大手メーカーの「米酢」は何から作られているのでしょう。醸造アルコールを酢酸発酵しているんです。醸造用アルコールはほぼ純粋なアルコールですので、これを酢酸発酵させても上記のように多くのような有機酸が得られずほとんどが酢酸です。

ミツ◯ン酢のHPを見ますと「醸造用アルコールの原料はサトウキビ」となっています。まんざらうそでもないのですが、本当は砂糖を摂ったあとのどろどろのコールタール状の廃液をアルコール発酵させ蒸留したものです。最近はパルプを摂った後の廃液からも作られているらしいです。

また本物の「米酢」は体内では合成出来ない必須アミノ酸「リジン」「フェニールアラニン」「アラニン」「メチオニン」「ロイシン」「アルギニン」「グリシン」「バリン」と天然のアミノ酸の殆どを含むのですが、大量生産即醸法により作られる酢はアミノ酸も殆ど含まない「ただ酸っぱいだけの酢」です。

本物の「米酢」は味がまろやかでツーンと鼻を刺しません。エキス分が濃いので薄めても旨味が消えません。良い調味料は少量で効果があるからお買い得かもしれません。しかし、米酢にも一つ欠点があります。

雪印の事件以来、消費者は食べ物の安全性や清潔性に敏感になっておられるようです。先日若い男性のお客様からクレームをいただました。酢が腐っていると言われるのです。内心「酢が腐るわけないやろ」と思いつつ、そんなこと口に出すわけにもいけませんのでその酢の臭いを嗅いでみました。すでに分かっていたのですが、やはり米酢特有の「ムレ臭」でした。この臭いが米酢の唯一の欠点なのです。このお客様はかなり鼻の良い方だったのでしょう。ちゃんとご説明してご理解いただきました。

毎年新酒が出来ると飯尾さんから試飲会のお誘いが有ります。私は大変な日本酒好きで毎日四合は飲んでますが、飯尾さんの酒は雑味が多くて飲めたものではありません。でもそれでいいんです。飲用の酒造りは米を磨いて中心部の澱粉質を使いますが、造酢用の酒はアミノ酸を旨味とするためタンパク質を有る程度残して精米するからです。

酢酸発酵が終わっても8ヶ月熟成させ、酒の段階から実に12ヶ月もかけて飯尾さんの米酢は、熟練職人の経験と勘で作られます。美味しくて体によい(クレブスサイクルというノーベル賞を取った理論で酢が疲労物質を除くことが証明されました。詳しくはhttp://www.hana-maru.com/fukuyama/)本物の米酢は22世紀にまで残して貰いたいものです。

飯尾さんのホームページです。http://www.y-tec.com/fujisu/f_0002.htm


-- 暮らしの中での利用 --
★染色の色止めに
 酢を入れた水で仕上げ洗いをするとハゲないし、色止めになる。

★おむつかぶれを防ぐ
 おむつ洗いの最後のすすぎ水に酢を少量入れるとよい。

★壁、木細工、板すだれの汚れをとる
 酢を4分の1カップ、アンモニア2分の1カップを1リットルの湯に入れる。これにひたした布で洗った後、きれいな水ですすぐときれいに落ちる。

★ヒビ、アカギレをなおす
 毎日、うすめた酢につけるとなおる。

★ガラス食器の汚れをとる
 洗い水に酢を入れて洗うとツヤがでて美しく光る。

★排水管のツマリをとる。
 一握りの重曹と2分の1カップの酢を排水管に注いでから水を流
すとよい。

★シャックリがとまらない
 盃一杯の酢を水でうすめて飲むと止まる。

★皮製品の汚れをとる
 酢をつけた布で拭くときれいになる。

 

窒素の話

2001年1月6日

植物の乾物の96%がC=炭素(45%)、O=酸素(45%)、H= 水素(6%)で、残りの4% に多くの微量元素が含まれる。その4%の中で最も大事なのが窒素です。

植物は水と空気と無機元素からブドウ糖をはじめとする有機物を作りますが、炭酸同化作用では、ブドウ糖(C6H12O6) からリンを使って多糖類(デンプン)を作り、多糖類(デンプン)と窒素でアミノ酸のベースを作ることが窒素同化作用です。そうして出来たアミノ酸のベースと他の元素で各種アミノ酸を作ります。

土壌中の窒素が不足すると成長が著しく悪くなります。窒素欠乏は葉緑素の生成を阻害するため光合成が出来なくなり、収量が上がらず、ひどい場合は枯れてしまいます。

空気の約80パーセントは窒素ですが、植物は直接空気中から吸えません。窒素はアンモニア体窒素(+イオン)と硝酸体(-イオン)があり、土壌はマイナスイオンのためアンモニア体窒素を抱いてくれるのですが、ショウ酸体窒素は土壌溶液中でフラフラしています。従って、硝酸体窒素は即効性はあるのですがすぐに流れてしまいます。アンモニア体窒素は遅効性なのですが長期性を持っています。

畑作物は主としてショウ酸体窒素で、水稲では主としてアンモニア体窒素で吸収されることが多いのです。
●無機肥料としての窒素 
   硫酸アンモニウム=硫安 塩化アンモニウム=塩安 即効性があり計算し易い。
●有機肥料 
   鶏糞・魚腸骨・油かす…ぼかしは異化のコースを通って元素が出てくるので時間がかかる。
●好ましい窒素状態は
   アンモニア体窒素NH4-N で3〜30mg/100g(CEC×10%×14以下)
   硝酸体窒素NH3-Nで12.5mg/100g et以下

今ほとんどのほ場が窒素過多となっています。どうゆう場面でどのような資材を使うかは土壌状態が分かった上でなければならないのに、カンや経験則だけではダメで、ほとんどの農家は基礎知識がないのが現状です。

昔ドイツや日本で「ブルーベビー」という赤ちゃんの病気が有りました。植物が過剰に硝酸イオンを吸収すれば窒素過多となります。ブルーベビーは窒素過多の牧草を食べた乳牛のミルクを飲んだ母親から生まれた赤ちゃんが、血液中のヘモグロビンが酸素と結合するのを硝酸体に妨げられ酸欠となったため、毛細血管が破裂し、全身に打ち身を負ったように青くなり死亡したという事件でした。

また過剰硝酸体の野菜と、肉類が分解されてできるアミンが結びつくと強い発ガン性物質といわれるニトロソアミンが出来ます。

窒素肥料は早く多く収穫する目的で多用されているのですが、農業の目的は人の食物をつくることで、食物を単にエネルギー源としてのみとらえるべきではありません。一次農産品はすべての命を担っているという意識がなにより大切であるのですが、現在は野放し状態な気がします。

「牛や豚の糞尿を堆肥化して畑に使う」のも、完全に堆肥化させずに使うと窒素過多の危険が伴います。日本の食文化が洋風に変化し、肉や玉子などを大量に消費するということは、それだけ大量の家畜糞尿が毎日出ることを意味します。その後始末を畑にさせるのはよほど管理を徹底して貰わないと怖いです。畑は畜産のゴミ捨て場じゃないんですから。

「有機栽培」の農作物でも窒素過多のものが増えています。毎作ごとにきっちり土壌分析をして、足らない物は足し、過剰な物は入れないという農業の基本姿勢を守って欲しいと思います。

このように土作りは経験や勘だけでは絶対に出来ません。微生物性・物理性・科学性をきちんと勉強し、科学的な視野でとらえなければいい環境は作れないのです。

例えば、たいていの作物はpH5.5〜6.5の範囲でしか成長しません。日本は降雨量が多いので土の中の塩基類が流れやすく、土壌が酸性に成りやすいのですが、これまでの農法では酸性に傾くとすぐに石灰をまいていました。pHは元に戻るでしょうが塩基のバランスが狂ってしまいます。塩基飽和度を60〜80%にすると自動的にその範囲のpHに収まります。また塩基のバランスはカルシウム5:マグネシウム(苦土)3:カリウム1の割合が理想的です。

私は毎日15年間中央市場に仕入に行き、自分では野菜のプロのつもりでした。ある集まりの場で岩手県高品質農畜水産物生産流通協議会(DFC)のメンバーが作った野菜を試食しその美味しさにびっくりしました。

月に一度勉強会をしているとのことで、私も参加をお願いし一年間岩手県花巻市まで通いました。その勉強会では別に特別な魔法を教えているのではありません。土の微生物性・物理性・化学性を一年間かけて基礎から学びます。

参加されているメンバーは真剣そのもの。総会のあとの打ち上げでもゴルフやパチンコの話題なんて出ません。朝まで農業の話をするんですよ、あのオッサン達は。ついていけへん。

この勉強会に参加し大変勉強になりました。農業関係の知識を多少なりとも学べたことはもちろん、「食」にかかわる立場の者としての基本的スタンスが分かったような気がします。

この間、京大農学部の西村和雄先生の講演会に行って来ました。地球を玉葱にたとえると土は玉葱を剥いていって最後に残った外皮より薄いのだそうです。その土が地球上の総ての生物を養っているのですから土は大事なものです。

農水省もいい加減に補助金のばらまき行政を改め、普遍的な農業をだれもが基礎から学べる方法を考えないと日本の農業はますますダメになっていきます。6兆円ものウルグアイラウンド対策費で温泉や使いもしない飛行場を作っているようでは「何やっとるんじぁ〜税金返せ!!!!!」ですね。

 

化学肥料に関して

2001年1月5日

化学肥料の使用ですが、私は悪いことでは無いと思っています。(また商売にひびくかな?) 化学肥料はピュアなもので、使う量とタイミングを正確に知っていれば農家にとって非常に便利な物です。

人間には米の一粒さえ作れません。クローンの技術はあってもただのコピーですね。だから農産物を作るのに人間が出来ることは、植物でも牛でも豚でもそれぞれの一番健康に育つことが出来る環境を整えることだけです。だからその為には化学肥料でも何でも使えばいいと考えています。でも単に化学肥料のみに頼っていればとんでもないことになります。

中学校で光合成を勉強しましたよね。光合成で初めて水と空気から有機物(ブドウ糖)が作られ、アミノ基、アミノ酸、タンパク質、澱粉・・と植物の中で変化されて、最終的に人が炭水化物や油脂、タンパク質等を頂いているわけです。

ですから地球上の総ての食物連鎖は植物から始まり、光合成が原点なんです。光合成には明反応と暗反応が有ると覚えていますか?明反応は昼間太陽のエネルギーを三値のリン(ATP)と言う形で蓄えます。暗反応は、ATPが二値(ADP)になるときに大きなエネルギーを出すのを利用し、葉緑体で水(H2O)と空気中の二酸化炭素(CO2)から太陽エネルギーによりブドウ糖(C6H12O6)が合成されます。

もし地中にリンが無かったら、植物は光合成出来なくなります。日本は火山列島で地下水に鉄分が多く、親和性の強いリンは鉄とくっついて植物が吸えない状態になったときにはリンを入れてやる必要があります。窒素や他の栄養素もたっぷりある時、リンだけが欲しい場合有機物でリンだけを補充することは不可能です。

リン酸はリン鉱石を砕いた物だから化学肥料とは言えないかも知れません。しかし、化学肥料イコール「悪い物」と決めつけるのはバランスのとれた考え方では無いような気がします。

次は恐ろしい窒素過多について書こうと思っています。

 

有機栽培の基礎知識

2001年1月4日

消費者の方は「有機栽培」に関してどれだけご存じ何でしよう?多分殆ど知識がないと思います。よく「00有機肥料」と言いますよね。でもあれって少しおかしいと思います。

植物は有機物を直接肥料として吸えません。窒素・リン酸・カリウム等の無機物を地中から水と共に吸い上げ、太陽のエネルギーで水と空気からブドウ糖を作るのです。植物が独立栄養生物と呼ばれるのは、植物と光合成細菌の様な一部の微生物だけが無機物から有機物を作れるためです。

植物ってすごいものですね。それではどうして有機物が必要なのでしょうか。土1グラムには十億の微生物がいると言われています。それらの微生物は有機物を食べ、最終的に無機化します。その無機物を植物が吸い上げるのです。毛根の回りの5ミリ位を根圏といい、微生物は有機物を無機物に分解し、アミノ酸や核酸類、ビタミンやホルモンなどを分泌しています。一方根の方でも炭水化物やアミノ酸・有機酸を出して、微生物に与えています。根と微生物はギブアンドテイクの関係なのです。

土の元になる物を母材といい、岩石が風化した物とかが粒子になったものです。この粒子はマイナスイオンを帯びてます。堆肥の中でも無機に分解される直前のものを「腐植」といい、腐植は、高分子から低分子を含む両性電解質で、重合・縮合を繰り返しながら無機質へと分解されてゆく過程でプラスイオンを帯びた物質となります。腐植は堆肥全体の10パーセントほどしかありません。

土の単粒と腐植がイオン的にくっつきます。これを一次団粒といい一次団粒同士がまたくっついて、最終的に「粟おこし」状態になります。そうなれば一次団粒同士の間に間隙が生まれ、そこに水や空気が入って好気性の微生物も嫌気性微生物も共存できますし、水はけが良く水もちもいいと言う状態になり、肥料を抱いていてくれる力=保肥力(CEC)が増すのです。さらに土の硬度が柔らかになって植物が根を張りやすくなります。

腐植には「栄養腐植」と「耐久腐植」が有り、いずれも有機物ですから最後には分解されてしまいますが、耐久腐植の方が分解されるのが遅く、土の改善には役立つと考えられています。耐久腐植は木質系の物で、木の細胞には細胞壁が有り、これはリグニン、ヘミセルロース、セルロースなどの分解されづらい物質で出来ているため長持ちします。

しかし、CN比(炭素と窒素の比率)が高い物を直接土に入れても、例えばおがくずなどでは、分解され窒素源になるためには30年もかかり、逆におがくずを分解するための微生物が地中の窒素を消費するため植物に窒素が行き渡らなくなる窒素飢餓状態になって悪影響を与えます。

腐植の含有量は多いに越したことはないのですが、せめて耕土の5〜6% は必要とされています。具体的には、耕作面積10アール(=1000平方メートル)・耕土10センチメートルとすれば、耕土全体の重量は約100tであるから、必要とされる腐植は5〜6tとなりますね。また腐植は耕作するしないに関わらず目減りしてゆき、耐久堆肥でも年間3%程度消耗し、少なくともその分は補充しなければなりません。

10アールで耕土10センチメートルの場合、一年で5トンの3%=150キログラムが失われます。現状を保つには150キログラムの腐植を入れる必要があります。乾物量として、腐植は堆肥の10% しか残らないので堆肥で補うには良質の堆肥1500キログラムを必用とします。しかし単に堆肥を大量に投入してもダメなのです。微生物のバランスがとれなくなると分解が進まないことになるので、窒素の補給などの手当と平行して行わないと逆効果となる場合もあります。

長年の農薬や土壌の酸化によつて微生物が減っている場合もあるから、時間をかけて少しづつのほうが安全ですが、土が出来てくれば堆肥を入れられる量も増えます。腐植の量は、現実的には5〜6%で十分ですが、実際に8%のほ場もあります。それは長年土づくりを行ってきた結果なんです。

このように土に有機物を投入するのは、土の微生物性(微生物の量と種類を増やす)を高め物理性を改善していくためなのです。

有機栽培って大変な事なんですよ。誰でもすぐに始められるものじゃないんです。今まで化学肥料をまいてたのを、「00有機肥料」をまきさえすれば有機栽培になるもんてものじありません。時間をかけ、体を使って初めて有機栽培となるんです。農家の苦労を分かってあげて下さい。

次は化学肥料について書いてみたいと思います。

 

無農薬野菜について その1

2001年1月3日

フレンドフーズではあえて「有機栽培・無農薬野菜」のコーナーを設けておりません。それは、現時点では農薬は必要だと思うからです。(こんな事書くと商売にひびくかな?)

日本の伝統的な農業が、戦後から今まで化学肥料の大量投入で途絶えてしまったため、土作りの知識や経験や技術が農家に無くなっているのが現状です。

でもこれは農家のせいではありません。戦後の農地改革で大量の自作農が生まれ、食料の増産という時代の要請と、進駐軍が下肥を嫌ったため化学肥料を使用し始めたのです。化学肥料の効き目は絶大でした。その後日本は高度経済成長時代に入り、農村と都市部の賃金格差が大きくなると、都市部の工業労働力として若者が農村より流出してゆき、爺ちゃん婆ちゃん・母ちゃんの「三ちゃん農家」が増えました。限られた労働力で農業をするのですから化学肥料に頼らざるを得ません。化学肥料を多用すると病虫害が増え、農薬で抑えようとします。するとその農薬に耐性を持った新たな病虫害が発生し、それに対抗する新たな農薬が開発されてきたのです。

もし可能なら、農薬を使わないに越したことはありません。ただ私が皆様に考えて頂きたいのは、「無農薬で・虫食いが無く・美しく・美味しい農産物」だけを都市生活者が農産物に求めるのであれば、農家の生活が成り立たないと言うことです。

日本のように高温多湿な地域では病虫害が多いのは当たり前です。種をまいて収穫までに、何ヶ月も農家には労働があります。肥料やハウスの修理やトラクターのガソリン代・・・現金経費がかかります。それが病虫害で作物が商品にならなくなっても、だれも農家の保証はしてくれません。

農業が滅びることは国が滅びることです。うちの店に時々野菜を納めに来る若い農家がいます。多分25才位でしょうか。
私 「農薬使ってないの?」
彼 「使ってません。」
私 「病気でえへんか?」
彼 「今年はましやったけど去年はほぼ全滅に近かったです。」
私 「生活できるか?」
彼 「いまは一人やからなんとか。」
私 「嫁さんもらえるか?」
彼 「・・・・・・・」

彼は若く元気で夢を持っています。でも夢だけでは生きていけませんし、きちんとした土作りも出来ません。ですから「農薬使わなあかんときは使いいな。その代わり何をどんだけ使こたかは明確にせんとあかんで。」と言って分かれました。

きちんとした土を作っていけば農薬は不要に、あるいはずっと少なくて済みます。植物は強くなり自分で病虫害などの敵から身を守れるのです。「虫が食った野菜は安全だ。」というのは大間違いです。植物だって弱肉強食の世界です。弱い者から虫に食べられていくのです。
次回は有機栽培=土作りについてです。ご意見ご感想お待ちしています。

農薬について非常に興味深い「農薬ネット」です。面白く、冷静に農薬について書いてあります。
http://nouyaku.net/index.html


 

我が社のビジョン

2001年1月1日

今日から21世紀。年頭に当たり従業員に会社のビジョンを伝達しました。目標に向かって、みんな今世紀も頑張っていこうね!

従業員各位
年頭に当たり当社の基本的考え方
                             
          フレンドフーズ(有)代表取締役 藤田 勝

不況とはお客様が商品を吟味するようになることであり、価格と同レベルまたはそれ以上の満足感を得られる商品しか売れなくなることです。
 
それは、価格がいくら安くとも満足感の得られない商品や、お客様の価値観からかけ離れた商品は売れないということで、その商品に求める基本的機能を第一優先とし、価格がそれに対して適切かどうかで商品価値・ブランド評価・ストアロイヤリティーが判断できるほどお客様の選択眼が成長したということです。
 
この変化に対して、売り手側は「低価格=ディスカウント」でなければ売れないと言う錯覚に陥り、価格にプライオリティーをおいた商品政策や販売計画で対応しているのが現状であるといえます。 
  
機能だけの使用品を コモディテイー商品といいます。たとえば醤油を例にとれば、ソースでなく酢でもなくケチャップでもない、消去法の結果の醤油。他の何者でもなくただ醤油という機能だけの価値しか持たない醤油のことです。言葉を変えると、A 醤油でもB醤油でもよく、代替えのきく商品がコモディテイー商品です。
 
誰しも同等の品質、同じ商品なら少しでも安く買えるのに越したことはありません。しかし売り手市場から買い手市場へと バラダイムが変化し、お客様は売り手側のコスト構造に疑問を感じこれまでの仕組みを認めない時代、これまで消費者と呼ばれたお客様が生活者としての自己実現を要求する時代にあってなお、売り手側の対応は今もなおコモディティー商品の競争志向型の価格競争に流れています。それが一番安易で、他の戦術など考える能力がないかやる気がないからかもしれません。

こと食品の技術革新・技術開発の目指してきたものは、例外なく「早く・安く・大量に」で、大量のコモディティー商品を生み出してきました。
 それはもつぱら作り手側の都合からであり、時代が下っては売り手側の勝手な都合でなされ、今では日本人の味覚のスタンダードはキッコーマンの醤油であり、ミツカン酢であり、タカラ本みりんであり、雪印北海道牛乳であるといえます。

作り手も売り手も行政も、これらが本物ではないと知りつつ、あるいは怠慢にも知らずにこれまでお客様を欺いてきました。一部では他店との差別化として戦略的に高級品・高価格品を集める店も出てきましたが、その大部分は失敗に終わっています。

それはお客様の選択眼に対して売り手のそれが不勉強でお粗末であることに原因しています。この場合、「差別化」とは同業他社に対しての布石であつてお客様の存在は二次的にしか考えていない場合が多いのです。

売り手の提供する商品は無限にあり、お客様はありとあらゆる単品の組み合わせの中での暮らし、場面を作り出しています。それを「生活シーン」といい、お客さんの買い方、使われ方、食べ方などの生活シーンから、自分のお客様だけを見つめてその価値観と勝負していくしか店舗の差別化というものはあり得ません。
 
お客様は店の規模や価格より、それぞれのポリシーやメッセージに対してロイヤリティーを求めているのです。たとえば、競合店が扱っていないからと低温殺菌牛乳を置いてみても、その一方で大手メーカーの超高温殺菌牛乳を特売していては低温殺菌牛乳は売れないでしょう。
 
ポーズとしてではなく、お客様の健康な生活のためには牛乳は低温殺菌でなければならないとしたら、いかに売れ筋であっても超高温殺菌牛乳は扱うべきではなく、その決断なしではお客様の信頼・ロイヤリティーは得られません。

「超高温殺菌牛乳は売れているのだから、従って多くのお客様の支持を受けている」というのは言い訳でしかなく説得力に欠けます。
 自店のお客様にどのような食生活・食卓を提案できるかは不断の勉強・研究が必要で、何を売るべきかではなく、何を売ってはならないかを判断する能力をつけることが最も肝心なことだと思います。

少なくとも、食品は餌ではなく人の健康と命を支えているもので、その食品をお客様に替わって選別し販売することは重大な責任を帯びているのだというを認識して下さい。  

言葉の上で「高級店」「こだわりの店」「ハイグレード店」など呼ばれても、それは相対的なもので、絶対的店舗レベルがそれほど高くなくとも回りの店のレベルが低ければそう呼ばれるだけなのですから。

呼称はともかくとして、弊社の基本戦略は絶対的な差別化店、独自の商品とサービスの基準を持ち、そのレベルを維持する店を目指すことです。

そのような商店には競合はもちろん限定された商圏などなく、お客様は万難を廃してでも来店し、全京都が商圏となり繁栄し得ると確信します。それがためには、皆様方の毎日の作業・行動にだらしな
さや不親切、不注意、無礼不作法があってはならず、店の基本的理念の実現に高い意識を持ち仕事にあたって下さい。


 

現代玉子の基礎知識 その2
有精卵と機能性玉子

2001年1月1日

有精卵とは不思議な玉子です。玉子には本来受精卵と無精卵しか無いはずなのに、なんなんでしょうね。受精そのものは顕微鏡サイズの事なので受精卵が味がいいとか栄養価が高いなんてことはいさかさの影響を与えるものではありません。

有精卵とは、おそらく流通業者が作った新しい言葉で、それまでは養鶏の現場では受精卵、無精卵とはっきりした区分けをしていました。
 食用卵として出荷される卵の受精・無精を判断するのは不可能です。その判別は卵を親鳥が抱くか孵卵器に入れ、受精した胚の部分を温度37.8℃、湿度70%で保てば、白玉で4日赤玉で7日目位に電球にすかして見て、胚が発達し血管が蜘蛛の巣状に広がることではじめて受精・無精が確認できるのです。
 従って、有精卵が受精卵であることを証明する事は不可能で、むしろそうではない可能性の方が高いからさすがに受精卵とは呼べず、有精卵という言葉を創作したのでしょう。

有精卵を作っておられる生産者(それも有精卵の草分けで有名な方です)に「受精しているかどうか分かるのですか?」とお尋ねしたことがあります。答えは「分かりません。」でした。

卵の受精率はいろいろな条件によって変わります。特に飼料と受精率は非常に密接な関係にあります。飼料には種卵(ひよこ)を採るための栄養標準で配合された繁殖用飼料と採卵用としての栄養標準で配合された飼料があります。
 採卵用の一般的な配合飼料を与えておれば受精率はほとんど0に近く、受精卵は生まれません。繁殖用飼料を与えれば可能性は高くなりますが、飼料代が30〜35%よけいにかかってしまいます。その上玉子を生まない雄の鶏を養わねばならないのですからそのような高価な飼料を使うとは考えにくいと思います。

雄と雌と一緒に飼うのが自然だと言う人もおられますが、家畜や家禽に「自然」を求めるのも何か変な気がします。進化論のチャールス・ダーウィンも「地中海地域の鶏はすでに抱卵本能を失っている」と言っています。それより家畜や家禽にとって最適で人にとっても安全な環境を作ることを考えるべきでしょう。

以前ある養鶏場を見学したとき、事務所に養鶏の業界新聞があり、見出しをみてびっくりしました。「有精卵の出荷を自粛しよう」というものだったからです。その記事を読んでいくと「孵卵器に入れても胚が発達しない玉子は日持ちが悪いので出荷を自粛しよう」という内容でした。有精卵が万が一受精していたとしても、上記の条件で保存しない限り死んでしまい、すぐに腐敗が進行します。

「放し飼い」も牧歌的で聞こえはいいのですがリスクを伴います。先ず鶏がなにを食べるのか分かりません。野生の鳥と鶏の病気・寄生虫は一致しています。何年か前に香港で新種のインフルエンザが流行し、鶏を大量に処分したことがありましたね。あれはシベリアからの渡り鳥から鶏にもたらされたものだろうと言われていました。

放し飼いでは糞の回収は不可能です。微生物に頼って糞の分解をさせるなら、300坪に5羽程度なら可能だろうと言われています。でもそれではビジネスとして到底成り立ちません。

EPAが入っているとかDHAが多いとかヨードが多いとか、いわゆる機能性玉子ですが、国民生活センターの調べでは殆ど役に立たないことが分かりました。厚生省も機能性玉子は「限りなく加工食品に近い」と何らかの規制に乗り出す構えです。「ヨード卵・・」はアメリカに進出を計りましたが当局から甲状腺障害を引き起こす恐れがあると販売を禁止されました。

きちんと美味しい玉子を安全に作るのにコストがかかって高くなるのは仕方がないことですが、物価の優等生玉子を本来からかけ離れたよけいな付加価値をつけて高く売ろうというのは絶対に間違っていることで、殆ど詐欺ではないかと私は思います。
玉子について面白い話はまだまだありますがまたの機会に。

ニワトリとタマゴの百科

特殊卵の「うそ」


 


    

 

 
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